叙情と断絶のクラインの壺

外の僕、内の少女。
僕の意識は、少女に向いているようで、実は僕にしか、向いていない。
だから少女は、裏返る瓶に隔てられた僕を認識できないのだろう。

「あなたがいるのは」
まず問われたその言葉。
けれど読者は、一見観測者のようでいて、しかし、所詮は瓶の蓋、或いは瓶の口でしかなく、僕にも少女にも、外にも内にも、永遠に関われぬ切ない媒介者なのではないだろうか。

心許なくたゆたう波間に、束の間、放り出されよう。