物語を作る、一つのカギは「論理」

 文章とは何か、ということを考えた場合、行き着くところ「論理」であるということになる。「論理」とは何か、というのは哲学的な問題であるけれど、一つの側面を取ってみると「接続詞」である、ということができる。

 「接続詞」というのは、国語をおさらいするならば、「そして」「しかし」「ところで」「たとえば」などの、文と文を繋ぐ言葉だ。バカにするな、と言われるかもしれないけれど、文章というのは、文を繋いで作るものである以上、繋ぐ言葉というのが重要になる。

 多くの場合、小説に大切なのは起承転結である、だとか、三幕構成である、とかそういうことが言われがちだけれど、自分が大切だと思っているのは、この「論理」の部分であり、「接続詞」だと思っている。


 どういうことか。具体的に説明しよう。

 例えば、ファンタジーによくあるワンシーンを考えてみよう。


 「オークがエルフの村を襲撃した」


 これでも、一つの物語が出来る。だが、多くの場合、エルフの村が襲われて、そしてどうなった?と考えるだろう。そこで、次につながる言葉を考える。接続詞の種類には七種類ほど存在している。

 順接の場合、読者が予想するであろう文を繋ぐことになる。重要なのは、貴方が「予想する」ことではなく、読者が大方、予想しそうなことである。例えば、このような。


「オークがエルフの村を襲撃した。そして、オークはエルフを奴隷として捕まえた」


 さて、このように繋いでいくと、物語の焦点が一層見えてくる。この話は、オークとエルフの対立物である、というようにつながっていく。


 また、逆説という接続詞がある。この場合は、読者の予想を裏切るであろう文を繋ぐことになる。


「オークがエルフの村を襲撃した。しかし、エルフはオークを追い返した」


 なぜエルフはオークを追い返せたのだろうか。エルフがマッチョだったから?それはギャグファンタジーとして面白そうだろう。


 さて、ここで重要なことがある。このようにつながったときに、このつながりを、物語の中で説明付けなければならない。自分が「そして」「しかし」とつないだあとに、それがどうしてそのように繋がったか、ということを自分なりに作ってみた。その「作り」が、おそらく物語になる。

 いま、手元にある島田雅彦の『小説作法ABC』という本には「小説はBECAUSEとWHYで推進される」と書いてある。要は、シーンの繋がりと、それに対する理由ということで構成されていると言うことができる。


 これは、単純な小説の書き方であり、あえて論理的に見えないシーンを繋ぐことで、より深い物語を作ることができる。神話や童話は、一見脈略の無いシーンでも、そのようなつながりに、何か意味があるように見えるものだ、という意見があるが、それは高等テクニックといえる。


 文のつながりを意識し、その論理を読むこと。そして、そのつながりに理由を与えること。これが、たぶん物語のスタートになると、僕は思っている。

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