2 踏切

 踏切


 世界はみかんのようなオレンジの色に染まっている。

 時刻はどうやら夕方の時間帯のようだった。


「私のこと、覚えている?」

 にっこりと笑って、美しい少女が言った。


 かんかんかんかん。

 そんな踏切の音が聞こえる。


 巴はなんだかとても不思議な感じがした。初めて出会ったはずの自分と同い年くらいの女の子。

 でもなんだか、確かにどこかで、以前に、この女の子とどこかであったことがあるような気が巴はした。(でも、どんなに思い出そうとしても、どこで出会ったのか、思い出すことはできなかった)


 電車は緩やかな速度で、線路の上を走り続けていた。


 始発電車。

 ……そう始発電車だ。

 私は始発の電車に乗って駅を出発したはずだった。


 でも、今、窓の外に広がっている色はオレンジ色だった。つまり私(巴)は、世界がオレンジ色に染まる夕方の時間になるまで、この場所で、つまり電車の中で、ずっと眠り続けていたということだろうか?

 そんなことを巴は疑問に思った。

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