第26話 ドラゴン退治 その6

戦闘とか色々あって疲れた。

今日は、この場所でキャンピングトレーラー3台に俺達は泊まる事にした。

キャンピングトレーラー1は、俺とレイラとプロム…と、ミロース。

なぜ、なぜこっちに泊まるミロース、妻達と愛し合えないではないか!

キャンピングトレーラー2は、ルファスキャスカ、後、フィリーだ。

お前達も我慢しろ!

キャンピングトレーラー3は、ウィズ、カイ、バンの男三人。

って、感じに振り分ける事になった。


さて、次は夕食だ!

レイラ、プロム、キャスカの三名は手慣れた手つきで料理の準備に取りかかる。

俺とルファスも手慣れた手つきでキャンプ用品のテーブルや椅子をセットしていく。

ウィズ達は、どうしていいか解らないといった感じで、突っ立ている。

働かざる者食うべからず、俺は、ジャガイモやニンジンの皮剥きを命じた。

ミロースにやらせたら、生でガシガシ食べ出したので、椅子に座らせて待っているように言った。

今日のメニューは、レイラが大好きなカレーだ。

俺は、軽キャンに戻り、ウスターソースを取ってきた。


野上博志は、なんと、カレーにソース派だったのだ!


ウスターソースなど見たことの無いウィズは、対抗意識が芽生えた。

「うぐぐ、ヒロシ、俺も良いのもってるから待ってろ!」

ウィズは、自分達の道具袋から、ノガーミ印のマヨネーズを取り出してきた。

家庭用ではあるが、ノガーミ印のマヨネーズは、決して安いものでは無い。

「ヒロシ、これは、ちまたで出まわっている紛い物じゃない、見ろ、このノガーミ印を!本物のマヨネーズだ!」

ウィズは誇らしげにマヨネーズを掲げる。

まさか、ここで、マヨネーズが食べれるなんて思ってもいないはずだ!

ウィズは、俺に負けてないぜって感じで誇らしげだ。

フッ、

笑って俺は、軽キャンから貴族向けノガーミ印のマヨネーズ皇を持ってくる。

「そ、それは、皇!ノガーミ印のマヨネーズ皇! そ、そんな最高級品を、もっているなんて…貴方様は…負けたぜヒロシ、いや、ヒロシ様」


そんな、俺とウィズのやり取りを周りのみんなは、何してるんだろうって顔で、見ていた。



「な、なんだこれは?」

カイがカレーを一口食べて、言った。

「討伐にきて、暖かい料理が食べれるだけでも驚きなのに、こんな旨いものが食えるなんて!」

そう言うと、バンが大きな体を丸めてカレーをバクバク食べている。

「美味しいけど、辛いですぅ」

フィリーは辛いのが苦手なようだ。

「ヒロシ様は、最高のリーダーだぜ!ヒャホー!」

ウィズは、……まあ、いいや、大人しく食べてください。

みんなの食べている姿をみると、嬉しくなる。

喜んでくれてるのが嬉しい。

俺は、ずっと見ていたいが、席をたった。

ミロースがカレーの入った鍋にスプーンを入れて食っている。

気に入ったみたいだ。




俺は、みんなから離れた場所に移動した。

「俺だ、野上だ。 聞こえるか?頼みがある……」

野上博志が、ブレスレットに話しかける。



朝、俺達は、シャワーを浴びて歯を磨き、キャスカとフィリーに、クリーンの魔法をかけてもらい、パリッとした制服に身を包んだ。

準備万端整った、さあ、出発しよう。

俺は皆を見た。

みんな、ヤル気満々だ。


「みんな、いくぞ!」


俺の号令にみんなが、軽キャンに乗り込む。

運転席に、俺

助手席に、ミロース

軽キャンの後部に、レイラとプロム

キャンピングトレーラー2に、ルファスとキャスカ

キャンピングトレーラー3に、ウィズ、カイ、バン、フィリー

軽キャンと各キャンピングトレーラーは魔道通信出来るようになっている。

俺は、全員がちゃんと乗り込んだ事を確認して、セガル王国にナビをセットして、昨日きた道を引き返していく。

セガル王国を目指す。


キャンピングトレーラー3台を連結して爆走する軽キャンが森を突き進む!野を駆ける。

前に馬車発見!

コーディネーターと冒険者達だ。

俺はブレーキをかけて、馬車の前に停車する。


「なんなんですか? あななた達」

俺とミロースがコーディネーターを馬車から引きずり降ろす。

「あー、はいはい。そんなんいいから」

俺はコーディネーターの胸ぐらをつかんで、ぶん殴る。

そして、蹴った。

コーディネーターは吹っ飛んだ後、起き上がりながら、化け物に変身を始める。

「人間風情が、俺に舐めた真似を、ギャッ」

何か言いかけたが、ミロースがドラゴンになって踏み潰した。

「はい、討伐!ミロース、人間の姿になれ、行くぞ」

俺達は、すぐに乗り込みセガル王国に向かって走り出す。

残された冒険者達は、踏み潰されたコーディネーターだった化け物を見て呆然としていた。


俺達は、道中を爆走しながら、コーディネーターを狩っていく。

何人かは、半殺しにして、キャンピングトレーラーにくくりつけて捕虜にした。

中には入れない。汚されたくないからね。

どんどん行くよー!



壁に囲まれたセガル王国が見えてきた。

相変わらず中に入る為の長い列が遠くに見える。

門まで回り道はしない。

殴り込みだ!

速度をあげる軽キャン!


ドガガガッ!!


壁を突き破り、中に侵入する!

キャンピングトレーラーにくくりつけた化け物が壁にぶつかり、潰れたり千切れた。

そのまま、大通りをすぎてカーブをドリフトした先に冒険者ギルドが 見えてきた。

軽キャンがスピードをあげ突っ込んでいく。

列をなしていた冒険者達が慌てて道を空ける。


ドガン!

冒険者ギルドの建物に突っ込んだ軽キャンが停まり、中から俺達が降りる。

「すぐに、ドラゴン討伐をやめろ!罠だ!ってか、キャンピングトレーラーの捕虜がグロい事になってる!」

俺は、吐き気がした。

建物の中にいた冒険者ギルドの職員達が俺達を取り囲む。

「余計な事してんじゃねぇよ」

一人が言うと、次々化け物に変化していく。

「討伐開始!あと、捕虜の補充だ!」

俺の号令で戦闘が開始した。

ルファスのロングソードが化け物を斬っていく!

レイラとカイがキャンピングトレーラーの上から矢の雨を降らせ、さらに敵の数を減らす!

ウィズは、なんだお前、強いんじゃん。どんどん斬っている。

バン、俺を守れ!

キャスカとフィリーは汚くなったキャンピングトレーラーにクリーンをかけるように指示した。

うん、ピカピカだ。

俺は戦闘に目を戻すと残り後、2匹になってた 。

「無益な殺生はいけない、その二人は大事な捕虜だ」

慈悲深い俺は、抵抗できないようにボコボコにしたが、2匹を助けて捕虜にしてあげた。


「これでよし」

俺は一仕事終えて汗を拭いた。

一匹は、キャンピングトレーラーに括りつけた。

もう一匹は、軽キャン前のフロント部分に縛りつけた。

みんな軽キャンとキャンピングトレーラーに乗り込む。

「運転しにくいな」

俺は、フロントガラスが捕虜で見にくかったので思わず言った。

だが、我慢して王城を目指して出発した。


また、スピードをあげて軽キャンが突き進む!

城の前の広場に冒険者とコーディネーターが見えた。

俺は、そいつらの前に軽キャンを停車させる。

「お前らの仲間連れてきたぞ~」

俺は、優しいので教えてやった。

コーディネーター達が、軽キャンのフロントに縛りつけた化け物を見て 、次々に化け物に変わっていく。

俺は軽キャンをバックさせる。

その場にいた冒険者達が、どんどん逃げ出していき大分スッキリしてきた。

俺は、アクセルを目一杯踏み込み軽キャンを急発進させた。

化け物がパンパン轢かれていく。

フロントに縛りつけた捕虜は、ボロボロのクッタクタで気持ち悪い。

「あ~らよっと」

俺はサイドブレーキを踏んでハンドルをきって、軽キャンがキャンピングトレーラーを引きずりながら円を書くようにドリフトさせ、化け物を轢いていき、全滅させた事を確認して、そのまま城に突入した。




「えーい、先程よりうるさい!何事だ!」

セガル国王が、ドカンドカンと大きな音にイラついていた。

しかも、だんだん音がでかくなる。


ドカーン!


壁を突き破って軽キャンが王の間に侵入した。


中から、野上博志が降りたった。


「貴様が、この国の王か?」

俺は、いかにも王様です。みたいな格好をした、おっさんに言った。

「そうだが、お前達は、何者だ! 無礼者めが!」

王様が偉そうに言った。


「確保!」


俺が、そう言うと軽キャンからレイラとプロムが飛び出し、抵抗する王様の腹を殴ったりしながら縛る 、そして、軽キャンに引きずり込む。

俺は、それを確認すると、軽キャン乗り込んだ。


「撤収!」


俺は、軽キャンを走らせ城を出る。

軽キャンの中で、五月蝿い王様を、プロムが殴ったりして大人しくさせながら、レイラが、王様に猿轡を咬ませ、目隠しをさせた。

軽キャンは、そのまま城の前の広場を抜けて大通りをすぎ、空けた壁の穴から外に出た。

そのまま森の奥にいく。





「ここで、いいだろう」

俺は、そう言って軽キャンを停めた。

レイラとプロムに王様を降ろすように指示をした。

ルファスには、木を切って、こう言うのを作って欲しいと言って、ウィズには、石を持ってくるように指示をした。



レイラが王様の目隠しをとった。

ゆっくり目をひらいた王の目の前に、野上がいた。


「おーい、アレが見えるか?」

俺は、そこにあるものを指差して王様に言った。

そこには、サクッとルファスが、ロングソードで木を切って加工した物がある。

ギザギザの切り込みが入った四角い座布団状の厚みのある板と、まな板状の薄めの板があった。

王様は、みてもさっぱり解らないようだ。

「それでは、貴様の知ってることをアレを使って喋ってもらいまーす」

俺は、王様をキザキザ板の上に正座させた。

王様の顔が、苦痛に歪む。

ふとももの上に板を置いてあげて、その上に石を置いてあげる。

王様の顔がさらに苦痛に歪む。


俺は、時代劇とかで尋問する時の拷問道具みたいなのを作ってみました。


「貴様も頑張るね、声をあげないとは」

俺は、口を割らせるのに時間がかかる事を覚悟した。


「あんた、王様、猿轡してるわよ」

キャスカが俺に言った。

「忘れてた」

俺は、王様の猿轡をはずした。

「貴様ら、殺す!」

王様がキャンキャン五月蝿い。

はい、その態度ダメです。

「五月蝿いから、石、追加ね」

俺は言いながら石を追加で置いてあげた。

「ぎゃぁ~~~!脛、脛がぁ」

王様が叫ぶ。

「こんなんあったぞ」

ウィズが落ちてた木の枝を俺に渡した。

「いいね。 おら、吐け」

木の枝で、ビターンと王様の背中に叩きつけた。

「いだっ! 何を吐くか言ってから拷問しろ!」

王様が俺を睨んで言った。

俺は、そうだなと思った。

「カイ、バン、捕虜連れてきて」

俺に指示で捕虜の化け物が王様の目の前に連れてこられた。

王様の目の色が変わった。

こいつはクロだ!絶対なにか知ってる!俺は確信した。

「こいつは、何だ? なぜ、冒険者を集めて、殺す? ドラゴンをどうやって手なづけた? 言え! 言え!言え!」

俺は、木の枝で滅多打ちにしながら言った。

「わ、わかったから、もう止めてくれ」

王様が俺に懇願してきた。

「やめてくださいだろう?」

俺は、石を追加してやった。

「しゃべるので、もう、やめてください」

王様が涙ながらに言った。

いいだろう。

「よし、お前が一つ吐いたら、一つ石をどかしてやる」

俺は王様に言ってあげた。

「その者は、…わ、我が国の魔導師が、た、対ヴァルファ帝国用に人体改造したキメラ兵だ、だ…言った!はっ、早くどけろ!」

俺は、小さめの石を一つどかした。

「ひ、人を、食わせれば、そ、その者の魔力をキメラ兵は取り込む事が出来る。 一人でも多くの人を食わせる為に冒険者を募った。 ドラゴンもキメラ兵同様、か、改造した」

俺は、石をどけながら、聞いた。

「ドラゴンを…、よくつかまえたな?」

「最初の卵を沢山手にいれた後、その卵を取り返しにきた子供のドラゴンがいた。

そいつを卵を盾に脅して連れ去った。卵を返して欲しかったら抵抗せずに、ついてこいってな。

それから、言うことを聞くように、頭をいじって、自我を取り去り、言うことを聞く兵器にしてやった。

それから卵が孵化する度に、頭をいじり、我が国の優秀な兵器にしていってやった。

あの、強大なヴァルファ帝国に打ち勝つ力を手に入れる為、まだまだ、人を食わす必要がある!

…え?」

王をミロースが、ぶん殴った。

倒れた王様は、顎が砕けたようだ。

「殺すなよ、ミロース。こんな奴は、殺す価値もない。それより、城に戻って子供や卵、取り返そうぜ」

俺が言うと、ミロースは頷いた。

俺は、王様と捕虜を放置して軽キャンを走らせる。

サイドミラーを見ると、キメラ兵とやらに、王様が食われていた。



城の奴等を痛め付けて、魔導師の場所を聞き出して魔導師を始末したが、ドラゴンの生き残りはいなかった。

卵も全て何かの実験に使用された後のように割れたりして無事な卵はなかった。

孵化した卵のドラゴンは、俺達が殺したドラゴンと同じように、冒険者を食い続けているのだろう

と俺は、思った。


部屋の中、ミロースは何も言わない。

ただ、寂しそうな顔をした。

俺達もミロースに何も言ってやることが出来なかった。


城をでた。

ミロースは、ドラゴンの姿にもどる。

「ミロース、俺達が…やるから」

俺が、そう言うと、ミロースは、頷いた気がした。

その後、翼を広げてゆっくりと飛び上がり、飛んでいってしまった。



俺達は、ここに残りセガル王国によって改造された、ミロースの子供達を殺していく。

可哀想だが、自我を失い人を食い続けるだけの生物になった彼らを助けるには殺してやるしかないからだ。

それでも、ミロースに、我が子を殺させるのは、ダメだよ俺達がやるべきだ。

少しの間だったが、仲間として戦ってくれた、ミロースに俺達がしてやれるのは、これくらいのものだったから…


俺達のドラゴン退治は、後味の悪いものになった。



また、一緒に旅が出来るよな、ミロース。

俺は、大空を見て、そう思った。

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