番外編 魚辞典

・ゴマモンガラ

ゴマモンガラ(胡麻紋殻、学名:Balistoides viridescens)は、フグ目モンガラカワハギ科に分類される魚類

本作の最大の敵にして謎の物質マエコウを手にした結果人類と激しい生存競争を繰り広げることになった生物。

さすがにリアルではここまでヤバイ生物ではない。

ゴマモンガラはモンガラカワハギ科で最大の種。沖縄の有名なシュノーケリングポイントでは必ずといっていいほど出遭ってしまう魚である。

沖縄の方言で、かーはじゃーと呼ばれている。


ゴマモンガラは海の底にいることが多く、表層から中層を泳いでいることは滅多にない。

底に落ちている珊瑚などを口でくわえてなにやらやってる姿をよく見る。

海底のサンゴや岩を突っついてボリボリかじる音はダイビングしていると数メートル先から聞こえてくるほど遠くに響き渡る。

重い石をひっくり返して下にある生物を殻ごとかみ砕いて捕食したりヤドカリを貝から引きずり出したりすることもある。

尾びれではなく尻びれで水を流して出すようにして泳ぐ。

魚には珍しいことに縄張り内の仲間とあいさつする習性をもつ。

本来は臆病な魚で、自分より圧倒的に小さい魚相手から逃げ出すこともあり、夜は岩の下で寝る。

しかし、その臆病さ故に自身のテリトリーを犯すものに過剰防衛とも言える執拗な攻撃行動をとり、特にメスは繁殖期にその凶暴さはピークに達し、すり鉢状の産卵床の半径15mに入るものに執拗な攻撃行動を仕掛ける。

それが恐れられる最大の理由である。

海には危険な生き物がたくさんいるが、通常は見かけてもこちらから刺激を与えなければ襲われることはない。

しかしコイツは例外で、縄張りに侵入した場合や繁殖期には何もしなくても襲ってくる。


噛まれて指を失った

ウェットスーツを引きちぎられた

腕を噛まれて血が止まらなくなった

頭突きをされてあざができた

という被害報告が出ている非常に危険な魚である。


参考資料 ダーウィンが来た385回


・ホンソメワケベラ

ホンソメワケベラ(本染分倍良、学名:Labroides dimidiatus)

主人公鮫島優二に宿った魚。

本来は細いソメワケベラでホソソメワケベラだったらしいが聞き間違いで現在の名前になった。

見た目は白い体に腹から青くなるのグラデーションで、尾に行くにつれて太くなる黒いラインが特徴の小型魚である。

ホンソメワケベラはほかの魚の回りを泳ぎながら、ウミクワガタを主体に体表に食いついている寄生虫を捕食する。

えらの中や口の中にも入りこみ、食べかすなどを食べてまわる。

魚たちは掃除がしやすいように、口や鰓蓋を大きく開けて協力する。

いわは海の歯ブラシ&洗面用具。

掃除してもらう魚は、小型魚からアジ類、大型ハタ類まで、サンゴ礁にすむ魚のほとんどを占める。

この中には魚食性の強い魚も数多く含まれるが、この魚たちは自分の体をきれいに掃除してくれるホンソメワケベラを捕食することはまずない。こういった能力は優二にも引き継がれている。

ホンソメワケベラのいない海域では魚の種類が極端に減るため生態系において最も重要な魚の一つである。

英名は掃除屋を意味するCleaner。


・ニセクロスジギンポ

ニセクロスジギンポ(学名:Aspidontus taeniatus)

スズキ目ギンポ亜目イソギンポ科に属する魚類の一種。

ニセクロスジギンポはホンソメワケベラに擬態することで、大型魚に捕食されることなく安全に接近し、鱗や皮膚をかじりとって食べる習性をもつ。

人間には泳ぎ方が違うためバレバレだが結構魚にはバレない。

魚をかじった後キレれた魚に追いかけられる光景をよく目にする。

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