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果楽



だれかがよんだ。



ぼくのさがしびとではない



ひかりにうつる めのさきを


ちりゆくさくら


あめのけしきとちかく


また、いつかのきおくにある


さくらの……



それは 春 だ



何故?




「七花、今いないんだ」




ぼくが何故 秋をこえて———


あるいは、たどりつかないまま———




「でも、夏になったら戻ってくるから」




果楽 と


呼んだ


彼が



ああ、少し大人びた顔つき



いったい幾月を犠牲にしたのだろう


僕は探していた たった一人の愛しい人を



桜の木の下に僕の死体がうずまっている


僕は探していた 彼女に僕を会わせてやるために



この幽体からだではいけない




(あと、一生)




はらはらと名残なごる桜の波に呑まれて


再び輪の許へ




「また、夏に。……夏に、かならず。」

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