プール!

突然の話になるが、この寮にはプールがある。しかし、プールは屋外にあるので、基本的には夏しか使えない。とはいえ、季節は8月。気温は連日体温を超え、もはや生死に関わるレベルの暑さである。そして・・・




「暑い・・・そうだ優っち、プール入っていい?」




松永のこの一言から、俺がアイドルの水着姿を生で拝む機会がやってきたのだ。




◇ ◇ ◇




プールの掃除自体は、早川さんと尾関さんがしてくれていたので、後は水を入れるだけだった。そして8月のある晴れた日、この日練習が休みだった俺と仕事が休みだった安達・松永・尾崎の4人でプールに入ることになった。


当日、俺は朝からプールの水を張る作業をする。しかしまだ朝だというのに暑いな・・・そして、プールの水が張り終わったため、俺は3人を呼び出す。どうやら着替えを済ませてから行くようだ。俺は3人より早く水着に着替え、プールの水に入る。冷たいが丁度いい感じだ。そして・・・




「優くんありがとう!私、もういい加減プール入りたかったの・・・」


「優っち、もう着替えたんだ」


「玲香と遥は胸あっていいわね。それに比べて私は・・・」




水着美女3人衆が、俺の前に姿を見せたのであった。




◇ ◇ ◇




グラビア写真とかで3人の水着姿を見る機会はあったけど、直で水着姿を見ることになったのはもちろん初めてだった。安達と松永は意外と胸あるし、尾崎はやっぱりスタイル抜群だ。胸の方は・・・うん、何でもない。




プールに入った3人が3人、子供のようにはしゃいでいる。俺はそんな3人を横目にしながら、プールサイドで体を鍛えていた。




「そういえば、優っちってプール入らなくていいの?」


「いいよ、別に」


「の割には真っ先に水着に着替えて、本当は入りたいんじゃないの?」


「元はと言えばお前が入りたいって言ったんだろ」


「可愛いアイドル3人とプールで遊べるなんて、もう一生ないかもしれないよ?」


「お前ら3人の水着姿だけ見れて俺は十分だよ」


「そう、なら力づくでも入れさせるんだから。玲香、やっちゃいなさい」


「優くん、これも遥のためなの。ごめんね・・・」




俺は松永と安達に半ば強引な形でプールの中に突撃してしまった。そしてその瞬間を尾崎がスマホで撮影していた。




結局俺はプールで3人と遊ぶことになった。しかし、松永だけではなく安達と尾崎もかなりノリがいい。安達に至っては、「この日のために、わざわざ新しい水着を買ったんだからね。だって優くんに『安達が着てる水着、めっちゃ似合ってるな』って言われたいから・・・」とまで言っていた。・・・何だよ、それ。しかも安達が何を言っているかわからないって松永に言ったら、「優っち、鈍すぎ。玲香、傷つくよ・・・」とまで言われた。・・・意味わからん。




そして夕方になろうとした頃、俺は「最後にみんなで写真撮りたいから」と松永にせがまれ、水着美女3人をスマホで撮ることになった。で、画像はそれぞれのLINEに送信。そして最後に、俺を入れた4人で再び画像を撮ることにした。これもまた、それぞれのLINEに送信する。そして・・・




「あー、今日は楽しかったな。俺、3人の水着姿が見れて幸せだったわ」


「うん。私も楽しかったよ」


「やっぱり優っちが一緒にいるとめっちゃ楽しいよ。それに、暑い日は水着になるのが一番!」


「うん。私も楽しかったわ。でも玲香と遥、胸ありすぎ・・・」




俺たち4人はプールから上がり、これから着替えをする時にこう言い合ったであった。




◇ ◇ ◇




そして夕方になり、仕事を終えたメンバーが帰宅する。で・・・




「優、なんで私には誘ってくれなかったん?」


「優くんの女たらし!私、もう知らないから!」


「玲香たち3人も同罪だよ!」


「裏切り者!あばずれ!」


「卑怯です!ズルすぎます!」




俺たち4人が他のメンバーから糾弾されたのは言うまでもない。

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