第二町人 クランカおばさん

クッキー職人のクランカおばさんは、ちょっとボーッとしてるけれど朗らかで優しい、まるで皆の母のよう。

クッキーの味と同じくらい、あまりにふわふわしてるから、いつか誰かがこう言った。


「その内、飛んでいくかもよ?」


ある日、うとうと、うたた寝してたら、クランカおばさん屋根まで浮いた。

こりゃ大変と血相変える町の皆に手を振って、


「まあ、こんな日もあるものよ」


そこへ、一吹き強い風。

クランカおばさんタンポポのようにぽろぽろと、ちっちゃなおばさんに分かれに分かれ、何十人ものミニおばさんが町中あちこち降り注いだ。


皆、必死で集めたがクランカおばさん何のその

「まあ、こんな日もあるものよ」

「さあさクッキーを作らなきゃ」

「皆お店に寄ってらっしゃい」


そんなわけで、ちっちゃくなったクランカおばさん達は、今日もせっせとクッキー作り。

絵本に出てくる妖精みたいと、益々町の人気者。

一口サイズを袋に一杯、種類も味も町一番。


クランカおばさんのクッキーを召し上がれ。

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