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  • 第4話 すれ違いへの応援コメント

    【評価されるべき作品に、感想爆弾を投下します】企画に参加いただきありがとうございます!
     感想爆弾を投下しに参りました。心の準備はいいですか?

     悲壮に満ちた一話、幸福な時間を振り返る二話、そして話が動き始める、鏡の中に亡くなった妻が現れる三話……不気味な現象ですが、主人公の心情が一話と二話で十分に語られていたので、主人公に感情移入して受け止めることができました。四話はまさに【夢現】という題がピタリとはまる章でした。
     三話。裕子の死を受け入れられず、身の回りのことも手に付かずに荒んでいく、止まってしまった生活。鏡の中の裕子は、傷心の主人公に一時的な潤いをもたらす。【止まっていた時が動き出す】と感じさせるくらいに。それも束の間のこと。高揚は徐々に悲しみへと変わっていく。鏡の中の裕子は自分を見ていないし、触れることもかなわない。裕子の虚像もろとも鏡を叩き割り、衝動的に死を選ぼうとする……。まず、裕子が鏡に現れるという出来事で「おっ」と思わされました。同じような設定を世にも奇妙な物語でも観たのですが、また違った味わいでした。そこから再び悲しみへと落ちていくまでの流れが細かく描写されていて、とても自然でした。月の光が差す暗い部屋、血溜まりに映る大きな月、映像としても印象的な場面でした。冷たくて、悲しくて、美しい。
     四話。主人公はベッドで目覚め、隣では裕子が寝息を立てている。え、そんなはずは……と読み進めていく。鏡のときとは違って、話すことも触れることもできる。失ったものが戻ってくれば、再び失わないように囲っていたくなる。【束縛は日増しに強くなり】、裕子は外へと飛び出す。主人公も後を追いかける……。そのまま読んでも筋はとおりますが、裕子を縛り付けることは、自分が裕子に縛り付けられていることの裏返しなのだろうと思いました。元の生活が戻ってきたのに、裕子の死が頭にちらつく。記憶を捨て去ることはできないし、おそらく裕子の死は確固たる事実なのだと頭の片隅で了承してしまっている。それが主人公を縛り付けている。【裕子が現れた時やり直せると心から思った。でも、あの時の悲しみは消えてくれなかった】……口に出してようやく、裕子との再会は夢なのだと受け入れる。夢と相対するように、目の前には墓石が佇んでいる。【夢現】という言葉をストーリーで表現されていて、強い没入感がありました。【悲しみに溺れ、悲哀の底で諦めを掴んだ】……死を受け入れて、止めていた歩みを再び進めるというのは、諦めを掴まなければ成し得ないことなのかもしれませんね。
     二話で裕子との思い出の小道具として登場した【首に鈴の付いた熊の人形】が、四話の最後に登場させていたのが好きでした。一工夫ですね。
     全体を要約すれば「妻が亡くなって悲しい」の一言ですが、それを膨らませて、形を整えて彩色して、より美しく提示している。これが純文学なのだと思いました。配偶者の死というのは今まで数え切れないほどの人が経験して、テーマとしてはありきたりなものであるはずなのに、こうして最後まで読んで心動かされてしまう。普遍のテーマを書く力によって作品に仕上げる。作者の筆力があってこそだと思いました。
     しっかりと描き込まれた重厚感のある小説で、満足度が高かったです!

     細かい点にも触れてみようと思います。
    【完成された葬式の場にぽつんと置かれた人形が私だ】とか【泥が流れ落ちるようだ。もしそれが本物だとしたら、風呂場の床は黒く染まり、排水溝は詰まっていただろう】といった比喩が素敵で、主人公の心情を読み進めていく上で大きな役目を果たしているように思いました。
    【今日も裕子は鏡の中から笑っている】・【鈴が小さく鳴った】と、そっと添えられている何気ない一文が好きでした。
    【この車って外見は素敵だけど、内装が質素よね】と言った裕子に対して、【反発するような口調になった】主人公。自分の立場に引け目を感じて少し卑屈になっているように思えました。細かな心理描写で良かったです。
    「鏡を見なさい」と言った男はやはり(主人公が考えたように)幻であって、三話では主人公にとって苦しみを持ち込んだ存在でしたが、読み終えてみると、立ち直るきっかけにもなっているんだなぁと思いました。

     以下は、ちょっと気になった点。(「直してね」と押し付けるものではないです)
    【鏡に中にあるのは】→たぶん、うっかり誤字ですよね?
     一話と二話は、主人公についての説明的描写がずっと続いていて少し退屈したのですが、三話でようやく動きが見えて、この三話のために一話と二話があったのだなぁと納得しました。でも、一話・二話で動きが少ないのは仕方ないにしても、代わりに惹き込まれるようなフレーズがあったらいいなぁと思いました。

    作者からの返信

    長文の感想ありがとうございます。

    これだけの長文を書くためににどれだけ見返してくれたのか。
    見に来る人が皆無な話だけに、PV数はすべて王子さんだと思っています。
    細かい点まで触れていただき、褒めすぎなほど褒めてくださった。
    そのお返しがこの短い文章では失礼かと思いますが、繰り返すほど言葉が薄くなりそうなので止めておきます。

    誤字の指摘ありがとうございます。
    さっそく直しましたが、完全な見落としです。

    前半の説明が長いという指摘ですが、二話目は他の話と対比するために置いたもので、それを意識しすぎてバランスが悪くなっているのかもしれません。

    これだけの感想を書かれて見合わないとは思いますが、本当に感謝しています。
    ありがとうございました。

  • 第4話 すれ違いへの応援コメント

    すごく不思議な世界ですね。
    鏡から見えていたのはなんだったのか。
    また現れてくれたのはどうしてなのか。

    そっちが普通!?
    死んだのが夢!?

    でもそこまでになれる女性に巡りあえて、愛し合えたって幸せだなと思ってみました。
    そこまでなれる夫婦が実際には何人いるかでしょうから。