第3話 少女と悪魔

少女は監禁されている。

少女はまもなく悪魔に殺される予定、それは少女が悪魔にとって都合の良くない最期の希望だからである。

ありきたりだが少女は最期の希望で、おそらくはこの世界を救うのだろう、そう言えば何かの本で読んだことがあるぞ、世界を救う「ロード」という存在の話を、つまりは彼女はそうなのか、「ロード」なのか。

悪魔は急に喋り始めた、(といっても人であろうと悪魔であろうと大体は急に喋りだす。)

「お前は夢を見るだろう?」

「・・・夢?」

「そうだ夢だ。今は監禁されて、悪魔なんてものが存在して、殺されそうでどうしようもない世界だが、何だかこんな世界じゃない、平和な世界の夢を。」

少女は確かに見ていた。

見ていたが隠す事にした。

「・・・いえ。」

「そうか。くだらん嘘を言うんだな。吾輩は悪魔で大概のことは知っている。」

少女は全部じゃないんだ、と思った、が隠す事にした。

「・・・大概のこと?」

「言う必要もないが、冥土の土産だ、教えてやろう。世界は2つある。お前が夢で見る平和な世界と、まさにお前が殺されかかっているこの世界だ。ロードのいるこの腐った世界で、お前は死んでいくのだ。フハハハハハ。」

少女は最後の最後で悪魔的に笑いやがって、と思ったが、隠す事にした。

え、待てよ、ところでロードって悪もんなん?と思った事を隠しがちな少女がそう思った瞬間、ある男が入ってきた。

タバコとコーヒーと血のにおいがする男。

ドアは見事に手刀で斬られていた。

手刀で斬られていた。

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