33話 喧伝

200pvに行きました!読んでくれた方ありがとうございます♪

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1時間目、国語。2時間目、社会。3時間目、数学。4時間目、体育。5時間目、理科と今日は5時間授業の日だった。今日は火曜日。授業変更はなし。集会はあり。

本当は6時間目に道徳があるんだが今週は三年生の三者面談らしく短縮日課となっている。


それに、今日は秋乃が正式に転校してくる日だ。


その為、集会は昼休みの予定だったが、朝の8:30からに変更になった。

住民票をこっちに移動して引っ越したらしい。


秋乃の両親は二人とも既に他界してしまったからお父さんの両親の方に引き取られたらしい。そっちには両親にお父さんの弟がいるからその弟さんがこっちに住民票を移動してお父さんの弟とその両親が引っ越してきたというわけだ。


なんでも昨日の夜のうちになぜかうちに来てこのことを教えてきたのだ。


弟さんがTNSの株式会社の足場で働いているらしくいろんなところを転々と出張しているからか家がどこにあっても問題ないらしい。両親はもう別にええよ、と言うだけで反論はないという。太っ腹だよな。


「はい。並んで〜。静かにね」


自分たちの担任の壱与先生が指示を出してくる。従って学級委員が先頭に立ち手をしたに下げて座る合図をした。


それから1組から第1体育館に移動していく。南校舎側から行ける廊下があり1組から順に体育館履きに履き替えて静かにして待つ。


それから5分くらいした頃だろうかマイクで


「これより集会を始めます。全員起立!」


壇上の上に立ってマイクで指示を飛ばしてきたのは生徒会長だった。僕を含めた全校生徒はピシッと立ち前ならえをする。


「今回の集会は表彰と転校生紹介です。全員座れ」


そう言われて全員すぐに座る。表彰なんて聞く側は「はぁ、そうか」程度で半分程寝ている者が大半だ。僕もその一人。悠々と真剣に聞けるほど誠実な人間じゃないのでね。


おおよそ10分くらいだろう。適当にボケーとしてたら表彰で名前を呼んでた生徒会の人が「次は転校生の挨拶になります」と言ったから気を持ち直した。


コンコンコンと秋乃が足音を立てて壇上に上がっていく。そしてマイクの前に立って一度礼をして喋り出した。


「おはようございます。東京から転校してきた花田秋乃です。今日からこの学校で生活するので見かけたら気軽に声をかけてください!それに、まだまだ分からないことだらけでもあり、新しい地での生活なので慣れない部分もあるのでフォロー等していただけると有難いです」


ここで一呼吸挟んで続けた。


「私は、向こうでは入院したきりの学校生活だったんですがある人にさっさと退院しろ、と説教を貰って頑張ってなおしました。運動会の時、実は視察の意味も込めて見に来ていたんですがすごい盛況な運動会で熱に当てられて後半の方はもう私も熱い応援をしていました。これから約1年半この学校でやっていくんだと実感したのを今でも覚えてます。枝垂れ桜の木とこの学校の生徒の皆さんが今日の私の初の登校を迎えてくださって緊張しました!これ以上話すと、「この人、話長ーい」なんて思われかねないので私の話はこれで。ご静聴ありがとうございます!」


秋乃がそう締めくくった途端、拍手と笑いが体育館を満たして歓迎していることを明らかに表現していたのだった。


「秋乃さんありがとうございます。では、これで集会を終わりにします。各組の担任の先生に従って教室に戻ってください」


これにて、朝のとても早い集会の転校生紹介は終わった。


そして、こと後教室に戻った僕は席に着いたと同時に戸谷塚から声をかけられた。


「かわえかったなぁ〜。人並み以上には。お前さんはあの転校生どう思う?」


「どう思う?いい人。終わり」


「あーそうじゃなくて好きか嫌いかだ。第一印象」


「直接喋ったことすらないのにそんなのが推し量れるわけないだろ」


そう、誰も僕と秋乃が接点を持っていることを知らない。莉奈以外は。


「はーい静かに。あの転校生は4組に入っちゃったわ。男の子は可愛い子がクラスに来なくて残念ね。女の子は、新しいクラスの女の子が来なくて残念。そんな皆に朗報です。なんとー1時間目自習になりましたー」


壱与先生がそう行った瞬間教室中から歓喜の声が溢れた。


「やったーー」「よっしゃあ!」「ラッキー」など様々だ。勿論、僕も嬉しい。


「さて、取り敢えず礼しちゃおっか。日直」


「起立!礼!ありがとうございました!」


「違うでしょ。お願いします!」


先生が突っ込むと皆んなが笑いながらお願いしまーすと言った。

1時間目は集会が終わったのが9:00位だから残り25分しかない。


この25分を僕は読書に費やした。


あんまり美味しくなかった給食を食べ終えた後の昼休み。僕は適当にぶらぶらするわけでもなく水道に手を洗いに来ていたところ。女子トイレの方からなにやら陰口が聞こえてきた。


「ねぇねぇ、うざくない?杏菜調子乗ってるよね」


「勉強教えてって自分でやれよってね。あっはは。あ!そういえば聞いた話なんだけど大学生とかうちらの同級、先輩に媚び売ってるらしいよ。中2のうちから何やってるんだよって」


「なにそれー、キモーい」


嘘ではないけどデマだな。盛った話をいろんな奴が吹聴して広がっているらしい。全くもってくだらないし胸糞悪い。蛇口をキュッと回して水を止め僕はさっさとその場を離れた。


「今日中に杏菜さんを励まさんと。この過程で行くと絶対に耳に入って何か攻撃を受けたはず。その前にまずは根本にある噂を改変だ」


そう言って僕は今日1日ずっと裏手に回って動いていたのだった。


杏菜は休みだった。

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