23話 Let's talk English

柚和ゆわ君まだ帰ってなかったんだね」


メモ帳に一心不乱に書き込んでいたからか杏菜 あんなが来てるのに気づかなかった。

取り敢えず僕は


「鞄と荷物自転車に置いてくれば?」


とだけ言った。いや、だって重そうだし。小柄な体は鞄の持つのに必死で左で持ってるから右に傾いている。丸くてリンゴみたいな顔は少し引き攣っていた。


「う、ん、そうする。ホントに重い」


彼女はうっ、よいっしょ!と言って自転車に荷物を置いた。リュックは背負ったままで帰るらしい。僕も杏菜あんなが来たので自転車のロックを解除する。


「さて、んじゃ一緒に帰ろうか!」


「え?うん。分かった…」


困ったような顔して了承されても(笑)と思ったけど気にしないことにした。


「んじゃ、Let's go home together!先行ってるよ〜」


スタンドを足で上げて、自転車を後ろに引く。帰りながら勉強するつもりでいるから自転車には乗らない。


「あ、はーい。すぐ行く」


「了解♪」


自転車のハンドルを手で握って前に押していく。チェーンが回転する音が聞こえるけどそれでも部活の掛け声の方がよく聞こえてくる。


ふと、妹の莉奈りなは何やってんだろ。そう思った。


「ま、頑張ってるか。体操の方でも何だかんだ今でも頑張ってるし」


無理しすぎかなとは思うけどホントに元気なんだ。


「ごめん。柚和ゆわ君どうしたの?」


「いや、なんでもないよ。あ、あとこれ、はい」


杏菜あんなが来たのでメモ帳を渡したらほえ?と首を傾げて受け取ったけど中を開いたらすぐに「マジで」と呟いた。


「うん。マジ。ふぁいと」


メモ帳の内容は取り上えず問題を書きまくった。数学のね。まぁ、宿題といったところ。y=ax+bに代入する問題。bは何か〜とか傾きはどれ?なんて基本的な事。


「さて、取り敢えず僕と話すときは英語を使って。因みに拒否権はない」


「えーと。それっ聞く意味ある?それと不公平な気も…」


「え?僕も喋るよ?」


「いや、そうじゃなくて私に拒否権ない方」


「あー。I don't know アイドンノー。ごめんね〜。1日1回相手に英語で質問する。これが一番楽だから徹底するように!それと、テストの大問で必ず自分についてスピーチを書くから英語を喋って単語を覚えていこう!英語で言うとcan you speak Englishあなたは英語を話すことができる??」


No, I can'tノーアイキャント。私にはできない。ちゃっかり話逸らしたね」


「…オーケー。Let's do our best togetherレッツドューアワベストトュゲザァー.これから頑張ってこう!」


ser yes serサー!イェッサー!頑張る!」


「さて、意外と喋れるね。てっきりI am dogアイアムドッグとか言うレベルかと思ってたからそこまでじゃなくて安心したわ」


「馬鹿にしたね。うん。今絶対馬鹿にしたね。私は犬です?は?そんな間違いは私でもしないからね?杏菜あんななめないでよ?」


「あー悪い悪い、あはは。sorry!please forgive meソーリー!プリーズ フォーギブ ミー?.」


「どうゆう意味?わからない、ごめんね…」


「謝ることなんかないよ、わからないなら教えるだけだからさ。さて、話を戻して意味はごめん!私を許して、どうか許してくださいって意味」


meが[私に][私を]アイマイミーマインにあるミーのことでpleaseは[どうか]

[お願いします]なんて意味があってplease give me chocolateプリーズ ギブミー チョコレートなんて言われたらチョコをくれって言ってることになる。forgiveが許す。動詞にあたる。


因みに、pleaseは頼み事する時にも使えるけど大体はcanを使った方が丁寧。

can you open the doorキャンユー オープン ザ ドアー。あなたはドアを開けることができますか?pleaseの方はドアを開けてください!って命令みたいな感じになるからあまり使わないこと。


「へー…forgiveは許す?みたいな意味で合ってる?」


「それでオーケー。それで、許してくれるのかな?」


杏菜あんなはふむふむと唸った後

「ふふふ、許さない♪ギルティ!懲役10年の重い罪です!」


「僕、今から君の先生やめて県外に逃げるね。どこがいいかなぁ〜イタリアかな、あ、これじゃ国外か」


「え?なんでイタリアなの?フランスでしょ?」


「イタリア語が喋れるからだよ。こんな風にbuon giorno come stai?io sto beneって感じかな?どう?すごいでしょ?褒めたら宿題増やしてあげるよ」


「意味がわからないけど取り敢えず、すご…コホン!普通だね」


おい!今こいつ言いかけたぞ。すごいって絶対言いかけた。酷いやつだ。ちなみにボンジョルノ コメスタイ?イオ ストベネって喋ってる。意味はおはよう!元気?私は元気だよ!って意味。ボンジョルノぐらいは知ってる人はいると思うけどね。


「今思ったけど、家ど…いや、英語で聞こう。Where is your home?Would you

send it home?ウェア イズ ユアホーム?ウドュ センド イット ホーム?さて、どう返す?」


あなたの家どこ?家まで送ろうか?って意味。


「えっと、My house is a…うーん…give up!無理!」


「ナイスふぁいと。その場合はMy house is a bit far from hereマイ ハウス イズ ア ビット ファア フロム ヒアーがいいよ。私の家はって出てきたんだからあとはどこにあるかさえ言えばオッケーなんだから形容詞を打ち込むだけ。from hereが[ここから]って意味だからfarは[遠い]って意味だから…ほら、もうここから遠いって文ができた。bitは[ちょっと]って意味だから私の家はここからちょっと遠い。はい完成!終わり」


説明終えると、杏菜が驚いた顔でこっちを見ていた。


「えっと、どうしたの?」


「柚和君ホントにすごいね…。分かりやすくて口頭でここまで伝わるのって初めてでなんか、頭が良くなってるって気がして嬉しい…。なんでそんな…ううんやっぱなんでもない。気にしないで」


そう言って彼女は下に俯いてしまった。自転車を押しながら来たら丁度交差点に出て信号で止まった。帰る途中何人か帰宅部と会ったけどチラッと見たらすぐに家に帰っていく。


「家ちょっと遠いでいいんだよね?おし!なら今から遊びいこう!どこがいいだろう…あ!岐阜駅に行ってスタバ行こう!ここ瑞穂だから一駅だしさ。どう?」


「今から?4時半までに帰れればいいけど…変なとこ連れていかないでね」


「ん?それは暗に連れて行って欲しいと言ってるのかな?」


そんなとこ行く気毛頭ないけど軽くからかってみた。そしたらいい反応して

「っ!そ、そんなこと言ってないけど?」


と怒鳴られた。


「スタバでちょっと数学に触れてみようか…それまでまた英会話だぞ〜ヒヒヒ」


「うわっ、気持ち悪いよ?」


「教えてもらってる側なのになんだその言い草は!まぁでも気持ち悪いかも」


そんなこんな話しながら瑞穂駅に杏菜と僕は向かっていった。

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