第4話 れっしゃ

 夢から覚めると列車の先頭車両の中央に横たわっていた。

私以外に乗っている人はいないようだ。

私の進行方向とは逆に走っている人が車窓から見える。


何でこんなところで寝ていたんだ?・・・


夢の中で何度も同じ場面に行っていた気がする。

上手く思い出せない・・・

(う~ん・・・いや待て、今も夢の中のような気がするぞ?


身体を起こし外の様子を窺うと、ここはトンネルの中。

外に見える人は皆自転車に乗っている。

ヘルメットを被りロードバイクに乗っている人もチラホラ。

満面の笑みでママチャリを漕いでいる人もいる。

何故か皆私とは逆方向に走っていて、同じ方向に走っている人はいない。


何だか、すごく大事なことを忘れてしまっている気がする。


横たわって眠りにつき、もう一度さっきの夢の中に行こうとしたんだけれど、

寝付くことはできなかった。

あきらめて立ち上がり、列車の走る先を見てみると小さく光が見えた。

トンネルの出口が近づいているのかな?だんだんと光は大きくなり光が少しずつ形を現した。

それは私の知っているトンネルの出口の形とは違っていて、四角だった。

まるで光の扉のような雰囲気を感じた。


その時、頭に直接というか、心に直接というか

声が聞こえた。


「・・・するの?・・・に・・・ちゃうの?」


よく聞き取れない。


光の向こうに行くなって言われている気がする。

だけどもう遅い、入っちゃったよ・・・

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