第2話 その羊、贄となるため

あー今日は疲れたなー

早く帰って、みさきのご飯を食べたいなー


「あ、藤島くん!フラフラしてるでヤンス!赤信号でヤンスよ!」


うちの学園のマラソンが25キロとかなんなんだよ、ギャグかよ…


「ちょうど良くトラックが!藤島くん!止まるでヤンス!藤島くーーーん!」


キキーーーー


ブレーキの音。そして、目を開けた先に見たのは………


エレンディアの死体だった。



ーーーーーーーーーーー


「修正が出来ない!」


と、テーブルを叩く。ここはいつもの喫茶店。


ここにいるのは…


凛子、才子、黒凛子……そして


「なんで居るんだよ!」

という感じでしれっといるエレンディアさんです。


「あら、心外ですわ。このエレンディア、復活したからには貴方の命となるため、お側に控えて居ますのよ」


「えー、いや…」


「しかもケン様にあそこまで情熱的に抱きしめられてはもう…」


「あのー…ああああ…」

言葉がバグる


「ねぇ…藤島くん…この子…何?」

凛子さんが怖い…


「ワタクシはラム財閥の一人娘…エレンディア=スケープゴートですわ!」


「スリーサイズは上から90.58.88です!ちょっとタチの悪い呪いを受けてましたが、それが無くなったので無事に復活できましたわ!

そしてワタクシの異能力は命移し!どんな命でもワタクシの力で1度だけ蘇生できますわ!」


「なんか詳細が凄いんだけど…命移し?」


「そう、ワタクシは自分の命を他人に1度だけ移せます。ケン様にしか使う気はありませんし、ワタクシは死んでしまうから気軽には使えませんわ」


説明しよう。


エレンディアことエレンだが、隠しヒロインではあるが、瑠璃のライバルポジの悪役令嬢である。


だが、瑠璃が姑息で陰湿、裏工作メインであり、エレンが正々堂々を地でいくキャラなので悪役というのは正しくない。


だが瑠璃にとっては悪役であり、キャラ説明でも悪役令嬢という単語が使われている。


瑠璃に封印された設定で自力で解呪しないと出てこないらしい。


…つまり瑠璃に何ががあったから出て来れた?瑠璃が解呪した?


できればゲーム知識が使えない状況は嫌なんだよなー


そしてエレン復活のイベントで抱きつかれてそのエレンに会えた喜びで主人公は泣いてしまうのだ。抱きしめたまま。


……イベントの強制力……


エレンは戦闘には参加しないが、出現すると主人公死亡をどんな状況でも覆すチートキャラだ。もちろん1回しか使えないが…

名前通りの生贄キャラなのだ。



とりあえず、女子が頼んだデラックスパフェを食べ終わるまで次の手を考えるのだった。




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