第10話 突撃!ビッチ迷宮

運命の鍵を見つけた場合、その場ですぐに心のダンジョンに転送される。


ただ、今回の場合はルートに入っているかが心配だったが、大丈夫だった。



しかし…


「中身全然違う!?」


知奈ちゃんのダンジョンは孤独。

黄昏の街を恐怖のトラウマと戦いながら進むダンジョンだったのだ。


しかし今は



「歌舞伎町?ススキノ?そんな所でしょうか」

「欲望の街かな?」

「そこの店に入ってみたいです。」


ネオン街になっていた。


「とりあえず、この中から知奈ちゃんを探さなければ…」


心のダンジョンは知奈ちゃんの心が作る光景…でもあれ?



「なあ…このダンジョンもうクリア済みじゃないのか?」


「え?」


「何というか…知奈ちゃんの心はもう、黒凛子の力で解放されたんじゃないか?そう考えれば…こんな光景になってもおかしくない筈だよなぁ…」



「……………どうするん?」


「あとは脱出するだけなんだが…出口がねえな…」


とりあえず歩き続ける。


歩き続けると目の前に痩せた悪魔がいた。

オーソドックスなデビル型が痙攣を起こしてる。今にも死にそうだ。


「…大丈夫か?」


「わた…し…は…『渇望』のクリュサヌス…なんか間違えて満たされた…世界に来て…しまったようだ…」


あ、こいつ元のダンジョンボスやんけ


「『純愛』を…信じたのが…間違いだった…はぁはぁ…」


死なせるのも可哀想かな…?


「どうすればお前は助かる?」


「何も憑いてなくて、適度に…欲望さえ…あれば…生命維持ぐらい…は…」


んー…


「じゃあ仮宿になればいいのか…」


俺、凛子、才子が並ぶ。

ちなみに黒凛子は才子の髪と同化してる。

こうすることで3人戦闘に4人で挑めるのだ。


「まず…貴様には魔神三柱の…ナダラが憑いてる…いや、入ってる…その封印で俺は死ぬから無理だ…居心地は良さそうだが…そして、次に…そこの女は…恐らく『慈愛』のフェルデがいるな…天使も悪魔も同じようなものだが…多分俺は死ぬ。…そこの忍者は……『痛み』のペインヌが…いるなちなみに孵化してるなそいつ…」


…やはりかなり有能だぞこの悪魔…


「じゃあ黒凛子は?」


ウィッグの擬態を解いた黒凛子が現れる。


「…………ああ…こいつは驚いた。天使と悪魔の集合住宅みたいな…やつだな…名があるやつ…無いやつまで…」


「いけそうか?」


「多分…やってみる…」


悪魔が消えた…黒凛子の中に入ったのだろう。


そして、ダンジョンのクリア報酬の宝箱が出現した。


知奈ちゃんの専用武器ワタシガイルセカイ通称『ガイル』だ。


ガイルは知奈ちゃんのデメリットである攻撃されないという特性を打ち消し、受け流し率を上げる本だ。

これでレベルさえ上げればラストダンジョンメンバーになる(はず)


知奈ちゃんルートでは手に入らない。真弟ルート限定武器だが、手に入って良かった。



ダンジョンは淡く消えて、最初の喫茶店に戻って来た。

戦闘が無かったのは不満だが、旧ダンジョンのような即死トラップとかは無くて良かった。



俺、凛子、才子に黒凛子、知奈ちゃん。


メンバーは揃って来たが、ゲーム知識が役立たずになって来ている今、更なる強化を求めて俺たちは中間テストに挑む。



次のヒロインにやる気を失くしながら。






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