第2話 尋問

ここは公園、人気の無い公園だ。


つまり、誰も助けに来ないという事になる。



俺、凛子、才子と蓮叔母さんがここにいる。


あの時、凛子にテレパスを中継してもらい、なんとかその場を誤魔化した。


話し合うということで夜に呼び出した形になる。



…………


抱きしめを逃れられなかったのは謝るから、凛子さんは睨むのやめよ?貴方も十分でかいから。才子は自分の胸を気にするムーブやめようか、かわいいから。


「とか考えてるわよこの子」


嫌ぁぁぁ!!筒抜け!!


「そんな…かわいいなんて…」

「やっぱり才子ちゃんズレてるわ…」


「この子めちゃくちゃドキドキしてるし、普通に興奮してて楽しいわ!」


今の姿勢は公園のベンチで抱っこされてる形だ。記憶やら想像やらをこれでもかと抽出されてるのだ。


「しかし、ゲーム世界ね…逆に能力者がいない世界なんてフィクションだと思ってたわ」


なんかノリ軽いな…


「いやね、何というか…前までの健ちゃんだったらあんまりね…」


ああ、そうか。

知奈ちゃんルートは通称鬼畜眼鏡ルートと呼ばれてる。

美少女ゲームの世界でよくある事だが、◯◯ルートはこの人、◯◯は別の人と、シナリオライターが複数存在する。


ときマイでも例に漏れず複数のシナリオライターが存在しており、これがクソゲーを助長してるわけだ。


知奈ちゃんルートの藤島健はSM好きでメガネをかけてる。超ドSなのだ。


選択肢によっては縄で縛るのは当たり前、ろうそくや鞭は序の口。

ゲームオーバーにはなるが、死体になった知奈ちゃんにまで欲情したりする。


だいたいの人が入れるルートでこんな要素をぶちこみやがって…


「本当にクソだな」

「ということよー」

今の地の文全部読み上げられてるのよー


凛子はドン引き

才子は目を輝かせている。


「という事で絶賛矯正対象だった健ちゃんが治ってくれて私は嬉しいわー」


「それは…どうでしょうか…」

まあ想像上でハイエースされてましたよね、凛子さん


「まあ、アタシが死ぬふりをするのは別にいいわよー今の健ちゃんだったら悪いことはしないでしょーし、ラブラブちゅっちゅしてても…」

「「それはダメです」」


凛子と才子がハモる、仲良いね。


「まあ、お嬢さん達がいるなら変なことにはならないでしょ。それに…」


突然蓮叔母さんが消える。


そして凛子に正拳突き、才子に回し蹴りを繰り出した。

凛子は咄嗟にバリアでガード、才子は軽々避けた。


「異常な程強くなってるしね…アタシより強いわコレ」

バリアで手を痛めたのか右手を抑える凛子さん。

「こんなに硬いのはアメリカで戦ったキャプテンの盾以来よー」


誰と戦ったんだよ


「まあ、とりあえずアタシはアタシを殺す人達を殲滅してくるわねー」


「今なら変な事にならないと思うけど、知奈ちゃんをよろしくねー」


そういえば…


「最後に聞き忘れてたんですけど、なんで知奈ちゃんと一緒に来たんですか?」


「常識的に考えて悪魔が発生してえらいことになってる街に一人で送るって無理じゃないかしらー」


納得だった。


じゃあねーと叔母さんは行ってしまった。



と、とりあえず協力は取り付けたし、結果オーライだよな!


「主殿、終始胸を押し付けられてにやけてた件について聞きたいのですが」

「大分気持ち悪かったわよ…」


結果オーライだよな?


…………


「なんか醜い雌豚が健くんの家に潜り込んだのね…ああ…どうしてあげようかしら…とりあえず…」


「それ、アタシの娘なんだわ、勘弁してやってくれないかなぁ?瑠璃ちゃん」


「なんですか?貴女は…」


「アンタの愛しの健くんの叔母さんだよ?しかも戸籍上は義理母だよ?」


「お義母様でしたか…何か?」


「アンタがちょいと不憫になったんで、恋のアドバイスをしに来たのさ」


「まあ、まずは…その物騒な魂を捨ててもらうかな!」


「これは…お義母様であろうとも捨てられるものではありません!」


フィンガーグローブの鉄板と、包丁がぶつかる。


最恐と最胸が激突した。



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