第9話 ウゴメクモノ

嫌がる凛子を連れてレベリングをする。

大体10時間ぐらいかかるだろうか…


精神と時の狭間は砂漠、森林、牢獄、宇宙の4つのステージに分かれてる。

最後のステージにはゴールドキングというボスがいるが、倒してもお金しか出ない。


「奥の方が効率いいんじゃないの?」

「いや…実はこの世界、敵が強くなっても経験値にあまり差がでない」


某有名RPGのスライムと殺人機械ぐらいに能力に差があってもスライム5匹分ぐらいしか差が出ない。


グミスライムの上は羽スライムという飛べる敵なのだが、何故かこのゲームは羽耐久を無くさないと本体HPが減らない。


アークデーモンみたいに着地してくれれば羽耐久なんて関係ないのだが。


そんな謎仕様とさらに強い敵になると一定確率でクリティカルヒットを行う。


クリティカルはモンスターによって様々な効果を持つ。一番多いのが一撃死だ。刃がある敵だと9割コレである。


ここの3つ目のステージにいるプロトゴリラという敵のクリティカルはスタンだ。一定時間行動できなくなる。


凛子スタン→俺に一撃死という流れるような連携でよく死ぬのが普通だ。


一応凛子を防御させておくと防げるが、よくある奇襲攻撃ってやつもあるしな…


一度セーブをしても迷宮内セーブはダンジョンに入る前にやりなおしになるから普通プレイでもやらない。


ゲームだったらコントローラーポチポチかマウスクリックでカチカチやる作業だが、身体を動かすのはいいな。


魔神の腕も両腕顕現できるようになったし。

もうちょっとで頭も出せそうだ。


主人公は最終的に魔神の上半身を使えるようになる。回復以外はバランスの良い感じだな。


「はぁ!!」


才子がグミスライムを倒す。

何故かお金を落とすので、それを才子が拾ってくる。30円ぐらいだが。


「いいぞ、その調子だ。」

ちょっと乱暴に頭を撫でてやる


「えへへ…」


喜んでる辺りフラグ立ってるなーと思う。

これぐらいの役得は許され…凛子さん睨まないで下さい。





…………


狩り続けること1時間。まあ時計が使えないので体感だが。


「そろそろ休憩にしよう」

才子にはいちごミルクを凛子にはフルーツオレを渡す。


このゲームは技回復が無いと思いきや、好物のみ回復をするシステムがある。


ちなみに才子は覚醒すると変化する。Mだと自分の体液(血を除く)でSだと血液だ。

正直どうかと思う。


可愛いもの好き忍者の才子はいちごミルクが好きだったりする。

凛子はフルーツオレだ。


両方とも500mlペットで24本、合わせて2ケース買ってきた。


このダンジョン内だと尿意は無いが、出たらどうなるんだろうな。

あと、M才子にどうやってかけたり飲ませたりしたんだろうな、ゲームの主人公は。



そしてゲームだとなんでもなかったが、落とすお金も小銭なのが問題だ。

お金が手に入ってる時点でおかしいのだが、貨幣価値とかは大丈夫なのだろうか。


「まさかドロップアイテム用のバッグが小銭で埋まるとは…」

「両替金だけで凄いことになりそう…」


1匹平均30円として、1万体は倒しているからな…もうちょい必要なんだがこの問題は加味してなかった。盲点すぎる…


「とりあえず、ウチの次元収納に閉まっておいてあげるね」

「すまん…」


実はこの凛子の次元収納…本編には無い要素である。

ときマイ(略称)のホームページのキャラクター説明文に様々な魔法を操り未来視を持つ稀代の魔法少女と書かれている。

ちなみに未来視だが本編で10秒ぐらいしか見れないとか言われてたりしてまるで役に立たない。

ちなみに凛子の回避率は全キャラ最低で、ガード率が最高というキャラである。

回復役なのにスーパー系すぎる。


未来見て避けようぜ。


…………………


凛子にフルーツオレを渡すが、すげー嫌な顔をされた。


まあ飽きるよな…

これもゲームには無い要素だ。精神力は回復してるのだろうか…


カチカチしてるより楽しいんだけどなー



「何か嫌な予感がする…」


は?急になんで?へ?

このセリフはウゴメクモノイベントの発生を意味する!


まずい!とにかくまずい!ダンジョンの外に逃げなきゃ!

「なん…だと…急げ!ダンジョンを出る


「何?なんなのよ?」


「いいから走るんだ!!」



こんな事が起こるなんてありえない!

このイベントは放置レベリング対策の一環でコントローラーやマウスを動かさずに10時間経過するとダンジョンにウゴメクモノと呼ばれるボスが登場するのだ。


…たしかにコントローラーもマウスも動かしてはいないが…ふざけるなよ!


ウゴメクモノに遭遇するとパーティの1人がイベントで死ぬ。

このイベントでは俺だろうが、凛子だろうが死ぬ。三分の一だ。


あの瑠璃でさえ死ぬ。もちろんその後に瑠璃の亡霊に首を絞められて俺も死ぬが。


サブキャラが死んだらただのロストだ。

ストーリーには影響があまりない。戦闘面ではやばいことになるが。


……よし、出口だ!!


先を行く凛子がダンジョンの出口の前に出た際に黒いモノが凛子を貫いた。


「凛子!」


凛子を貫いた黒いモノが現れる。

才子も臨戦態勢だ。



ここからは対決だ。


黒いモノは凛子と同じ形になる。肌は黒いが。


こいつの名前はウゴメクモノ。

殺した相手の形になり、恐怖を操る宇宙の化身。



そして









隠しヒロインその2だ。



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