第14話 税金による支配と、不甲斐ない未来人の話。

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 こんばんは。こちらは深夜で、僕は勤務が終わってからドクのガレージでずっと作業を手伝っていた。ドクの今度の発明は、一言で言えばミキサーだ。ミキサーっていうのは、スムーザー、ともいうのかな。ドクはどういう需要を考えたのか、かぼちゃを丸ごと粉砕できるミキサーを作った。正確には、作っている。僕は無理だと思うけど、たまにドクはこういう無駄なことをする。

 さて、令和になる前に、消費税は十パーセントになることが決まったけど、そちらの世界でもそうなっただろうか。それから三十年以上が過ぎて、今の消費税の税率を聞いたら、平成の君たちは半ば恐慌状態に陥るかもしれない。

 今の税率は、三十パーセントだ。わかるかい? 百円の商品が、百三十円になる。こんな税率を、僕たちがどうして受け入れているのか、不思議に思うかもしれない。でも事実だし、僕たちはそれを支払っている。それに、よく考えてみれば、消費税や他の税率を上げない限り、社会が回らないのは当たり前だろ? 違う?

 天井知らずに上がっていく、医療費。国民皆保険は維持されていて、高齢層の爆発的増加は、高齢者の医療費を一割負担で維持するべきか、それとも割合を引き上げるかで、ものすごい議論となり、国民投票さえも行われ、結果、一割負担が維持された。維持されたが、残りの九割を国民全体で背負うことも、はっきりした。政治家が議論を尽くしたわけだけど、こうなっては国民は誰も、消費税の段階的増加を拒絶もできない。

 もう一つ、とんでもないと平成の人が思うだろう、税制の変化があった。一番の特徴は、相続税が想像を絶する大きさになった。これは「悪政の象徴」とも表現された。高齢者が増えたということは、次の段階として、大勢の高齢者がこの世を去って、遺産相続が爆発的に増えることは目に見ている。そこを政府は逃さなかった。相続税の増加により、国庫の負担はやや緩和された。解消されたわけじゃない。緩和だよ。だって、平成の頃から分かっていたことだけど、日本は基本的に借金まみれで、国債なしでは運営できない。これが前代未聞の悲劇へ日本を突き落としたけど、それはまたそのうち、伝えよう。とにかく、日本は国民から財産を巻き上げるのに必死になり、国民は文句を言いながらも、それに従った。

 僕が感じている不満を、ここで書いておこう。国は様々な税金で僕たちを圧迫しているけど、これが生活にはっきりと反映されていない。平成を調べると、中負担、中福祉、というフレーズに出会う。当時の消費税は八パーセントほどだったはずで、どうやらヨーロッパの高負担、高福祉の国家と比べる意味で、そのフレーズを使ったようだけど、実際、令和を通り越しつつある僕の状態を見る限り、高負担、中福祉、がやっとという感じだ。高福祉が実現する可能性は、今の段階では影も形もない。

 理由ははっきりしないけど、人口が減ったことが大きいだろう。そして高齢者が多く、若年者が少ない、という構図が解消されないこともありそうだ。人口が減ることで、消費が減る。消費が減れば、いくら消費税を上げても効果が薄い。高齢者への補償で税金は出る一方になる。

 最近、一部の政治家がまた消費税を上げるべき、と言っているけど、僕としては、ご自由に、となる。平成の終わり頃の国政選挙の投票率のデータを見た時、僕は思わず失笑してしまった。あまりに投票率が低すぎる。で、令和はどうかといえば、それ以上に低い。つまり日本国民は、政治に関心を失っているんだね。僕もその例に漏れず、言われるままに従う、となっている。いけないとは思うけど、なかなか、この厭世観のようなものは、令和の日本人に共通している要素、抜け出せない要素だ。消費税が今のパーセンテージに上がった時も、相続税が跳ね上がった時も、国民の大半は沈黙し、受け入れた。だから今度もまた、消費税が上がるとしても、自然と実施され、みんな従う。

 というわけで、令和は重税の時代、となりつつある。

 ま、それが自然というものさ。国があるだけマシ、というより他にない。

 国があるから人がいる、というのも裏返っている気もするけど。

 人がいるから、国がある。それが普通だ。たぶん。

 でも、それはもう、幻想かもね。






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P.S. “TOUGH BOY” Is Good Song!


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