第7話 突然の訪問 <前へ>

庭の大きなアンティークなドアの鍵穴に鍵を差し込む。…硬い。びくともしない。




「手伝おうか?」




「…お願い。」




バキッ




嫌な音がしたけど開いたみたい。爽快王子は怪力だ。


そんな細い腕でどこからそんな力が出てくるの!?。攻略者補正強し。ミントもそんな力が出るのか……?


私はか弱い乙女だからそんな力はいりません。


いや、ローズを守るために護身術くらい覚えていても損は無いかも……


というか私、前世で超がつくほど運動できないんだよね。

小6のマラソン大会、1年生に抜かされたな……しかもあの日誕生日だったんだっけ?


とにかく!今世は人並みに運動が出来ますように!




「ローズ!」




「お姉…様?」




ワンピースが少し汚れている。生垣をどうにかして越えようとしたんだろう。




「お姉……様」




「ごめんね。1人にして。もう大丈夫だから。」




ローズの体温が伝わってきて、暖かくて。とても昔に感じたような懐かしい……


前世の妹は元気だろうか……

お転婆で素直でみんなに笑顔を振りまいて幸せを分けてくれた。


ローズもそんな子になってほしい。ローズが幸せをみんなに分け与える人になれるように


私はサポートするんだ。


私はサポートキャラだから。みんなを支えるサポートキャラだから。

私がしっかりしなきゃ。私が……しっかりしないと。




「大丈夫だよ。次からは僕も君を守るから。」




「え……?お姉様……この方は?」




「ライム殿下とミント殿下よ。貴女のことでちょっとだけ手伝って貰ったの。」




ローズは一瞬固まるとあわあわと焦り始めた。まさか朝言ってた王子だとは思わなかったんだろう。




「お見苦しいところをお見せしっ……」




舌噛んだのか……痛そう。

私前世は滑舌クソ悪かったからなぁ…舌を噛むのは日常茶飯事だったよ。




「敬語じゃなくていいよ。僕は君と友達になるためにここに来たんだから。」




「友達……?私は友達が何かわからないの。」




「僕もわからない。だから友達って何か一緒に探していこう。」




よかった……もうこれでローズが独りになることはないだろう。

心がほんの少し軽くなる。


でも、まだ始まったばかりだから……気を抜いたらダメだ。14年後のあの日まで。


全てはローズの幸せを願ってのことだから。いつもローズやローズの大切な人が笑っていられる未来を、私が土台を作るんだ。




軌道上からはみだした新たな物語シナリオは前へ前へと進んでいく。

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