第29話 思い出

 シゲルは朝起きると、いつものように(*^^*)を洗って服に着替えて朝食を食べた。


新聞を読み終えると、部屋を簡単に掃除してリビングのソファーに腰掛けた。


いろんなことがあったと思う。


辛いことがたくさんあった。

本音を言えば、今だって辛い。


けれども、立ち止まっていても楽になるわけではないのだ。


僕は塗り絵をするため2階へ上がった。


最後の1ページだった。


最後は4人家族が仲良くピクニックしているイラストだった。


レジャーシートの上で幸せそうにお弁当を食べる4人家族。


お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟。


僕たち家族もこんなふうにピクニックへ出掛けたことがあった。


母さんがサンドイッチやおにぎりをたくさん作ってくれた。


父さんは僕たち兄弟に川での魚釣りを教えてくれた。

兄ちゃんは釣りの才能もあるらしく何匹も吊り上げては照れくさそうにしていた。

確か、僕は一匹しか釣れなくて少しがっかりしていた。


思い出が押し寄せて、シゲルの胸は熱くなる。


「父さん、母さん、、、。」


思わず声に出した。


「兄ちゃんは僕を許してくれるかな?」


あれから兄には会っていなかった。



 

 僕は最後の1ページを塗り始めた。


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