第11話 君はもしかして、、、。
「助けてあげて。」
「君は誰?」
「助けてあげて。北に行ったの。」
「北?」
「誰にもわからない場所に。」
「誰にもわからないって、、、?」
「まだ間に合うから。」
「、、、、、。」
「私達を残して先立とうとしてる。」
「え!?誰が!?」
、、、、、誰が死のうとしてるんだ?
北の誰にもわからない場所で?
私達を残して?
私達って?
僕は目を覚ました。
外はうっすらと明るくなっていた。
時計を見ると朝の4時半過ぎだ。
明らかに寝不足だが再び眠る気にも慣れず、僕は身なりを整えて1階フロント横の自動販売機にコーヒーを買いに行った。
寝起きということもあり、エレベーター内は現実の世界じゃないみたいに感じた。
さっきの夢はなんだったのか、、、。
北、探して、先立とうとしてる、私達、、、。
僕がエレベーターを出てフロントを見ると、若い男性のフロントマンがパソコン画面を見ながら仕事をしていたが、僕に気がつくと「おはようございます。」と挨拶した。
僕は曖昧にお辞儀をしフロントへ向かった。
「宿泊を1日延長したいんです。」
僕はどうしても、このまま帰る気にはなれなかった。
フロントマンはパソコンで素早く空きを確認し、僕に言った。
「お部屋に空きがございますので延長は可能でございます。別のお部屋に移って頂くことになりますが宜しいでしょうか?」
僕は「構いません。」と答え宿泊を1日延長した。
それから自動販売機に向かい、スポーツドリンクを買って部屋に戻った。
僕はスポーツドリンクを半分ほど飲むと、塗り絵に取りかかった。
昨日とは違い、今日は面積の広い山並のイラストだった。
僕は青や緑を使い、熱心に塗り進めた。
3分の2程を塗り終えたところで文字が現れた。
それは芯の入っていないシャープペンシルでなぞられたような感じだった。
僕はそれを見てゾクリとした。
“ 私達は病院。北のヒントわかる。”
明らかに先程の夢と関係がある、、、。
僕はそう確信した。
僕は部屋の窓から病院らしき建物を探した。
あった!
その大きな総合病院は、ちょうどマンションと商業ビルの間から、表入り口がはっきりと見える位地に立っていた。
緑に白い文字で “ 協明私立病院 ”と書かれた看板も見える。
あそこに何かヒントがあるのかもしれない。
とりあえず病院の開く時間になったら行ってみよう。
僕は塗り絵の続きに取りかかった。
この日は、これ以上の教示を塗り絵は発っさなかった。
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