11話 採用
考えもなしに売り込んだ手前あれだが、意外とトントン拍子に話が進んだ。
親方様の家に連れてかれ(ちなみに乗り物は道行く農民が乗っているのと同じ牛車だった)そこのメイド長なるおばさんと執事のおじさんに面接をうけ、無事合格。
むしろ来てくれてありがとうといった具合。
人が足らないのだそうだ。原因はウェイバー家の伝統的な政策によるもの。
若者は学を収めよ、学問に向いてなければ武者修行か商人や他所の国の農業を学んでこい、とばかりに国内外の各地に送り出す援助がされる、そして修行を終えて帰ってきて土地に利益をもたらすか、実家へ仕送りという形で領地が潤う。
みんな満足してる。若者は広い世界で立身出世や技術を身に着けれるし、つまらない田舎から堂々と逃げることもできる。年寄りは子どもたちが学問をおさめ家に利益をもたらす。都会で成功しなくても、田舎に帰ってきてくれればその知識と経験が役に立つ。領地としては優秀な人材と外貨、そして知識が手に入る。
ただ難点は、若者の数が減るのだ。なので畑を増やすと思うと慢性的な人手不足。
そういうわけで若い人は歓迎してるのよ、と言われ無事再就職となった。
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