雨は退廃のサイン


雨の日に慰めなくていいの。

明るくなるような音楽を、持って来なくていい。

自分に似合わないことを、無理にする必要はないんだよ。



雨が憂鬱なら、そのまま受け取ってしまいたい。

静かに雨垂れが落ちる音に耳を澄ませて

それに似合うピアノの音が響けば、真っ暗でも構わない。



窓硝子を叩く雨粒のドレミは

ぽつんと跳ねて、ね、遊ぼうと誘うけど

私はわざとそっけなくしてみる。

拗ねた君を片目で見たいから。



その愁いを、折角の静けさを取り込まないと、雨に悪い。

君の、その精一杯の退廃を。

翳りゆく、何もかもを溶かそうとする、その一途な哀しみを。



家の中でそっと見てるのは、贅沢。

傘を差して迎えに行くのは、切実。

人を撥ねつけるような雨があっても、せめて私は味方になろうか。



それすら、断るのかな、君は。



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