第8話 手紙

ミリアに紙を見せ、テーブルの上に出す女性兵。

差し出した紙は、5センチ程の正方形に折られていた。それを女性兵はミリアとメイルの前に広げた。


「‥‥‥これは‥‥‥手紙?」


ミリアが紙を見て首を傾げます。


「多分、そうだと思います」


紙を差し出した女性兵が言います。

けど、何故ミリアが首を傾げるのか?

それは‥‥‥


「こんな文字は見た事もないですわ」


そうなんです。確かにこの紙は手紙なんですが、その中身、書かれている文字がミリアや女性兵には、わからないんです。


「メイル、この文字を見た事がありますか?」


「えっ?」


メイルも手紙の文字を見ますが、申し訳なさそうな顔をして、首を横に振ると


「ごめんなさい。私にもわからないわ」


「そうですか‥‥‥。姫様ならもしやと思ったんですが」


少し残念そうな顔をする女性兵。

で、メイルが


「ところで、これはどうされたのですか?」


「はい。先週休暇を利用して海に遊びに行った時に拾った瓶の中に入ってました」


「瓶の中に?」


「はい」


そして女性兵は、自分が持っていた少し汚れた小さな鞄の中をさばくるとある物を取り出し、テーブルの上に置いた。


「‥‥‥綺麗ですね」


メイルとミリアが見たのは、薄透明で少し濃い色のグリーンかかった10センチ程の小瓶。

メイルがそれを取り、光にかざすと濃い色のグリーンは、鮮やかなグリーンに早変わりする。そして薄透明だったのが、半透明ぐらいになり、小瓶を動かすとまるで、小瓶の中に吸い込まれそうになる程の幻想的な世界が小瓶の中で広がる。

それを横で見ていたミリアも


「本当に‥‥‥綺麗ですね」


「はい、ミリア姫様。こんな小瓶はこの国では見たこともありません」


「そうね。私も見たことはないわ‥‥‥けど、この中に入っていたのよね。あの手紙は」


「はい‥‥‥」


小瓶も気になるが、やはりあの手紙の中身が気になります。

で、ミリア、メイル、女性兵の四人が悩んでいると、メイルが


「悪亜に聞いてみます?もしかすると悪亜なら‥‥‥」


「そうね。悪亜なら」


そう言うと、ミリア達は悪亜の方を見ます。

と、ですねぇ。

唖然とする女性兵4人。

そして、そして、ミリアとメイルは‥‥

炎のミリアとメイルに変わっています。

つまりは怒りですね。


「悪亜さん!デートは許しても、そこまでは許しませんことよ!」


「ミリアの言う通りよ!なに光様とき、キスしようとしているの!」


え〜とですね。その〜ですね。

僕はですね、悪亜にキスをされようとしていたんです。

悪亜が魔法で僕を身動きできない様に、椅子にしばりつけたんです。


「光が奥手だから‥‥‥」


「ちょ、ちょっと、悪亜。悪亜さん?」


「光‥‥‥」


ジリ、ジリとまるで、獲物を狙うライオンの様に、悪亜は僕に迫って来ます。

僕も抵抗しましが‥‥‥


「光♡‥‥‥あっ!」


「あっ、じゃあありませんわよ!悪亜!」


「そうよ!悪亜!」


寸前のところで、ミリアとメイルが僕に迫る悪亜の腕を取り、悪亜の動きを止めました。

で、僕がホッとため息をして二人にお礼を言おうと


「はあ〜っ、ふ、二人ともありが‥‥‥」


「光様!油断しすぎですわ!」


「へえ?」


「メイルの言う通りですわ!光様は悪亜を甘やかしすぎですわ!」


「えっ?う、うん。す、すみませんでした」


え〜とですね〜、いつのまにか僕が二人に怒られてます。

けど‥‥‥あの二人の顔を見たら、素直に謝るしかないですよ。はい。

で、ミリアの後ろにいた女性兵達は、唖然としてますよ。唖然と。

あの温厚な?ミリアが怒っているのですから。しかも男の僕が、ミリアとメイルに何度も頭を下げて謝っているので、さらに女性兵は唖然としてますよ。


「それよりも悪亜!」


「なによ!ミリア」


邪魔されたせいで悪亜は少し怒ったような口調で言います。ミリアも少しムッとしますが、


「悪亜に見てもらいたいのがあるんですわ!」


「私に?」


ミリアは先程の手紙を、悪亜の前のテーブルに置きます。


「なに?これ?」


「悪亜、この手紙なんて書いてあるかわかりますか?」


「手紙?」


悪亜は手紙をマジマジと見ると、やはり悪亜も首を傾げて


「見たこともない文字ね。で、なんて書いてあるの?」


「それがわからないから悪亜に聞いているのですが」


「ふう〜ん。けど私にもわからないわ」


「そう‥‥‥ですか」


悪亜でも解らないのがわかると、ミリアは肩を落とします。

で、ミリアが手紙を引き上げようとした時、悪亜の目にある一文字が目に飛び込んだ。そして悪亜の脳裏に浮かんだ。


「‥‥‥ちょ、ちょっと待って!」


「?」


「この一文字は、何処かで‥‥‥あっ!そうだわ!光よ!私の光よ!」


「はあ?私の光ぃぃぃ!」


悪亜の言葉にミリア、少し怒り混じりの言葉で返すと、悪亜は少し焦り


「えっ?ご、500年前の私の旦那の方よ」


「それで、何か思い出したんですか」


「ええ、あの一文字は光が書いていたの見たことがあるのよ」


「えっ!では‥‥‥」


「そう!今の光にもわかるかも!」


とですね、悪亜とミリアが話している最中、僕はメイルに注意、叱られていました。

無論正座です。

で、そんな僕のところにミリアが手紙を持って来て、僕に見せます。


「光様!この字、わかりますか?」


「えっ?これ?」


「はい!」


で、僕はその手紙の字をジィーと見つめます。ちょっと文字が霞んでいたり、滲んでいたりで、見づらさはありましたけど。


「うん。わかるよ」


その場にいた一同、驚きビックリします。

で、その手紙の内容とは‥‥‥。










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