第5話 2人は尾行

メイリとミリアに尾行されているとは知らない僕と悪亜は、ガルバディの街中を散策(デート)してます。

朝も早いせいか、街のあちらこちらからは、朝食を用意しているのか、焼いたパン、ご飯?を炊く匂い、魚かな?の焼く匂いなど、お腹が空きそうないい匂いが、所々から匂ってきましたよ。


そんな僕らの真正面に、出店と食堂が一緒になった様な食べ物屋が目に止まる。


そこの店先にある出店では、何かの液の様な物が入った、人の頭程ある壺にパンを浸すと、直ぐに取り出し、目の前にある魔法石火の入ったバーベキューコンロの様な物の上に置く。

すると瞬く間に辺り一面に、卵かバターか、それても蜂蜜だろうか、いい匂いが漂って来た。


「う〜ん♡いい匂い。光!あそこにしましょ!」


で、僕の手を取ると強引に?店の前に。


店は、出店の後ろに20人程が座れる、テーブルと椅子があり、すでにお客さんが10人程腰掛け、出店の品物を食していた。

その中には夜勤上がりだろうか?軽装の鎧姿の女性兵士が4人、談笑しながら食事をしていた。


「ここの店は朝早くからでも、結構お客さんが居るから人気があるのかな?」


「そのようね。つまり食事も期待できそうね」


悪亜は、早く食べたいと急かしますよ。流石、食欲の欲に勝るものなし、ですかね。まあ、今の僕にとってはそちらの方がありがたいですが。


で、僕は出店の店先で、一生懸命に壺の中にパンを付けたり、焼いたりする店主らしき人に


「すみませ〜ん。このパンと飲み物を二人分下さい」


「いらっしゃい。少し待って下さい」


店主は忙しそうに、僕を見ないでそう言った。


『まったく、もおお!光様は!またあんなに悪亜に近寄って!』


『本当!光様は!‥‥‥けど、お腹空きません?メイル』


なんてミリアが言うもんだから、メイルのお腹がグ〜、と鳴くのが聴こえるとメイルは少し顔を赤くする。


『うふふふ。メイル、お腹が鳴って‥‥‥(グ〜)』


『ミリア。貴女のお腹も鳴ってますわよ(笑)』


「し、しょうがないわよ///(赤面)あの店はベルガーでも五本指に入る店だから!」


『ミ、ミリア。声が大きいですわよ』


『えっ?』


ミリアが慌てて、両手で自分の口を塞ぎます。

で、僕はどうも聴き慣れた声がしたので辺りをキョロキョロと、挙動不審者のように見渡していると、悪亜が


「どうしたの?光」


「えっ?うん‥‥‥なんでもな・い‥ぎょお!」


「ぎょお!?」


「えっ!あ、ああ、ちょっと舌かんじゃた」


「えっ!大丈夫?」


「うん、だ、大丈夫。大丈夫」


悪亜の心配そうな顔をよそ目に、僕はわざとらしく左手で口を隠します。

てか!僕は見ちゃいましたよ!建物の影に隠れて居る、ミリアとメイルを。

で、なんでわかったかって言うとですね、2人が隠れている向かい側の建物のガラスにですね、しっかりと2人が映ってますよ。

まあ、なんですか。頭隠してなんとやらです。


『ミリアとメイル、尾行していたんだろうな』


兎に角、2人の尾行を、僕が気づいてないようなので暫くそのままにしておきますかね。

とか思っていたら、パンが焼き上がったみたいで、店主が


「はい!お待ちどう様。2人分ね‥‥‥えっ!」


で、その時に初めて店主が僕の顔を見たんです。


「ひ、ひ、ひ、ひかり、光様!」


「「えっ?」」


いや〜あ、店主が僕の顔を見るなり驚いてるんですよ。まるで有名人が目の前に突然現れたかのように。

けど、僕は有名人じゃないんですがね‥‥‥


「あっ!」


そう言えば、【ホクトリアの悲劇】や【インフルエンザウイルス】を防いだ、て事で、街中をパレードで引き摺り回されたんでした。(この言葉は僕的から見た言葉)

て、事で僕はある意味有名人?


なんて考えていたら、出店の奥で食事をしていたお客さん達が、僕を見るなり「光様だ!」と叫ぶと、僕と悪亜を取り囲んじゃいましたよ。で、で、その叫び声に、近くの建物の窓が一斉に「バァン!」と開くと、


「光様はどこ!」


なんて騒ぎ出し、僕を見つけるなり「いたあー!」なんて言って、走り寄ってきます。

で、気づけば、200人程の人の輪が出来上がり、中心で僕と悪亜が揉みくちゃに。


「あ、悪亜。だ、大丈夫?」


「500年ぶりに光に抱きしめられ、守られて幸せ♡」


なんて悪亜は幸せ絶頂の顔をしてますよお〜

もうこの状態、世界の中心で○○を叫ぶではなく、人混みの中心で悲鳴をあげる!です、


ぎょえええ!‥‥‥ガックッ。












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