THE GUNMAN

@horizon25

プロローグ

夢…夢…

炎に包まれた獣が猛々しくこちら側に向かってくる。


幼い日(それがいつなのかは定まらない)のグレッグ・レンジャーは自らの名が刻まれたリボルバーを構え、この猛獣のこめかみを撃ち抜かんとしていた。


彼は炎に当てられたせいかひどく興奮し、自らの体が自然と活力に満ちるのを感じていた。仕留められる。俺ならできる……


彼はゆっくりと引き金に指をかけ、大きく息を吸い込み、息を止めた。少し大げさなほど。


引き金をひくと、綺麗な弾道を描いて猛獣のこめかみに当たった。制御を失った猛獣は前転を繰り返し、激しく体を打ちながらうつ伏せに倒れ込んだ。しかし、同時に死とともに燃え尽きると思われた炎はより燃え上がり、グレッグは顔に急激な熱がこもるのを感じた。


そして、グレッグは屍となった猛獣がひどい異臭を放っていることにも気づいた。この匂いは少年時代を過ごしたブランクベイの牧場にあった、長年、牛の糞やゴミを溜め込んでいた納屋の匂いに似ていた。彼がこのような形で少年時代を思い出すのは初めてである。


気がつけば燃え上がった炎は目を潰すほどの明かりにまでとなり、彼の体を大きく包み込んだ。焼かれると思ったのと同時に、病的なほど白い腕が彼を抱きしめた。


彼は拒むことなくその腕に抱かれ、身を任せる。

その白い腕の人物には心当たりがあったが彼にはもうその顔を正確には思い出すことはできない。もちろん、その温もりも。


グレッグは長らく母の夢を見ていなかった。

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