第10話:アリスを救出

 王城で、そのような事が起こって居た等、全く知らないアリスは騎士団の情け容赦ない扱いによって魔の森入り口へと放り出されて居た。


「罪を犯したとは思わないが、王子の命令は絶対なのです。恨まないで下さい」


 まるでゴミを捨てるかのようにポイ・・・と魔の森へと追いやられたアリス。


 彼女を残して団員たちは、王城へと戻って行った。


「・・・どうすればかせを外せるかしら・・・」


 後ろ手に嵌められてしまった枷を外す手段は思い浮かばない。


 体の前ならば、見ながら金具部分を石で・・・と出来るのだが、後ろでは見えない。


 しかも魔法を封じられて居ては解除すら難しい。


、その枷はずしましょうか?】


 彼女は魔術師で有って精霊や妖精とも契約して居た。


 風の精霊が解除を申し出るのだが、今の彼女には声は伝わらない。


 魔法封じの枷が邪魔をして居るのだ。


「アリスフィーヌ嬢!何処ですか!?」


 まさに救世主となるのだが、彼女の耳に助けに来たで有ろう人物の声が届いたのだ。


「・・・え・・・?ウィル様・・・?!」


 彼女を見つけたウィルが駆け寄って行く。


「アリスフィーヌ嬢、ご無事ですか!?今、かせを外しますので動かないで下さい。周囲の魔物たちは、他の王族たちが来ないよう見てくれています」


 ヴァカスに言い寄った後、マギーたちもヴァカスに意識が集中して居る事を利用し、王城から抜け出し馬車の用意や魔物除けの結界を張りに向かったりと動いてくれたのだ。


「ま、まあ・・・。卒業式を抜けて来られたのですか?」


「それどころでは有りません。貴女様が酷い仕打ちをなさる訳が無い。それが魔族、エルフ族、天族、私の一致した意見です」


「ウィル様」


 かち・・・と言う音が枷を外したと知らせる。


「ウィル様、魔の森から脱出しなければ危険すぎますわ」


 マギーも駆けつけ、ここが危険な場所だと思い出させてくれる。


「では獣人族の王城で話をしましょう」


「その方が無難だな」


 魔族のアイザックも駆けつけアリスをアースでは無い場所へと誘導して行く。


 何しろ彼女は馬鹿に国外追放処分を言い渡され、アースに戻る事が出来ないからだ。


「アリスフィーヌ嬢、君の祖父へ知らせを走らせた方が良いか?」


「そう、ですわね。お爺様は父エヴァンスを侯爵家から追い出す手続きと、わたくしを養女にする手続きをして居るそうなので、もしかすると断罪されたと伝わり怒り狂うかも知れません。お願いしても宜しいでしょうか?」


「アリスフィーヌ様、ヴァカス様から言われた事、全ては嘘で御座いましょう?」


「えぇ。マデリーン様を苛めた事も無ければ突き落としたと言う事実も有りません。ヴァカス様はマデリーン様からの言葉信用して居ない様子でしたわ」


 何とも馬鹿げた事を…と思ってしまう一行では有るが、アリスが冤罪で追放処分されたと知り、怒りが込み上げて来る。


「今後の計画は獣人族の王城で構わないか?」


「「「勿論!」」」


 アメリア、アイザック、マギーが力強く答え、戸惑ったのはアリス。


「ウィ、ウィル様?!一体、何を・・・」


「詳しい話は我が王城で致します故、馬車に乗って下さい」


 そこに用意されて居たのはウィルが用意した馬車。


 彼らが何を計画して居るのか判らないまま、アリスは獣人族の王城で保護される事となった

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