第5話:学園生活

 学園では魔術と剣術と貴族のマナーを学ぶ学科が存在して居て、それぞれの科目は見た目で判るようになって居た。


 魔術科は青色、剣術は赤色、貴族科は黄色のリボンかネクタイを着用して居る。


 ただ食堂は合同で、それぞれの学科でも交流は可能だった。


「まぁ、あの噂は本当でしたの?」


 そうアリスに声を掛けて来たのはエルフ族で貴族科のアメリア。


「どのような噂が存じませんの」


 アリスは食堂で食後のティータイムを過ごして居たのだが、噂されて居ると言う事実に戸惑ったのだ。


「セレンティア侯爵様が後妻を迎え義妹との生活を始めただけでなく、娘で有るアリスフィーヌ様を物置同然の場所へと追いやった・・・と言う噂ですわ」


「・・・噂では有りませんわね。それ・・・」


「「「え・・・!?」」」


「噂の根源はどなたかしら」


「・・・どうやらマデリーンと言う方らしいですわ」


「あぁ。それは義妹として侯爵家に居る女性の名前ですわ。彼女が根源・・・ならば事実を噂として流し何かをしようと画策してらっしゃるのかも知れないですわね」


 噂をが不明では有るが、目的を持って流して居る可能性が浮上した瞬間だった。


「アリス・・・」


「まぁ、ヴァカス様・・・ごきげんよう」


「・・・噂は本当なのだな?入り用な品が有るのなら用意しよう」


「いいえ。ヴァカス様、例えヴァカス様が用意して下さった品で有っても、あの妹を名乗る女性は『お姉さまの品は私の品』と言って自分へのプレゼントとして持って行きますわよ?」


 その場に居合わせた全員が息を飲んだ。


 彼女の瞳が悲しみに彩られて居たからでも有るのが、何もかも諦めきった顔だったのだ。


「そんな事をされて居るのか・・・?」


 ウィルが辛そうに訊ねる。


「ふふ・・・ウィル様が辛い顔をなさらないで下さい。わたくし食事すらもままなりません。森の恵みが無ければ生きてさえも居ませんでしたのよ?」


 森の妖精や精霊に助けられて居るからこそ、生かされて居ると伝えるアリスの姿は神々しくも有った。


「食べ物すら提供して居ないのか!エヴァンスを処罰・・・「無理で御座いますわよ?」」


 ヴァカスが処罰を下そうと声を荒げたが、重なるようにアリスが無理だと伝えた。


「何故ですの?」


 マギーの疑問は至極当然。断罪しなければアリスの命は森に助けて貰わなければならない状態だと言うのに・・・だ。


「セレンティア家を断罪するのなら、わたくし同罪」


「「「あ・・・」」」


「お父様だけを断罪なされた場合、わたくしも同罪だと言って更なる仕打ちをしかねませんわ」


 ヴァカスは何も言えなくなってしまった。


 彼女の説明が「まかり通る状態」だと気付いたからでは無く、エヴァンスをも魅了する義妹の容姿が気になったのだ

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