オール・オブ・アビリティ・オンライン

@pyonnziro

第1話

2045年。技術者達は、VRの開発、実用化に成功した。

そして今年、2048年最新型VRMMORPG『オール・オブ・アビリティ・オンライン』が開発される。

このゲームは文字通り「全ての能力」を用いてVRの世界を探求し続けるというものだ。

誰もが期待しているこのゲームのβ版が1ヶ月前に5000個限定で販売された。

限定販売の5000個は僅か2時間で売り切れ、製品版も販売が始まったが、すぐに売り切れてしまい今や誰もが待望している。


「ていう事だ!」


「なるほど…。理解はしました。それで…?」


「一緒にAOやろうぜ!」


ちなみにAOとはオール・オブ・アビリティ・オンラインの【アビリティ・オンライン】から取った、略称である。AOをプレイするには、VRゲームには必要不可欠である、VRメット。それに加えて勿論専用のソフトが必要である。VRメットは現在でも、生産が追いついておらずネットで買おうものなら0が6つはあるだろうという値段だ。ソフトは、言わずもがな人気があり沢山の人が買おうとしている。


ここは城ヶ崎学園高等学校。

フリーダムな校風だとして人気の高校だ。

現在は昼休み、屋上で会話が行われている。

片や、落ち着いている、美少女とも見違えるような少年に近いサイズの青年。ハーフ特有の青い目が特徴的である。

片や、活発そうな元気ある青年。いかにもチャラ男っぽい見た目をしているが、人をよく気遣う優しい青年である。


美少じょ…青年の名は鶴城 春馬(つるぎ はるま)、高校1年生。

もう片方の青年の名は天童 彼方(てんどう かなた)同じく高校1年生である。


「やるにしても、VRメットもソフトもありませんし、買うにしても高すぎます。それにやる理由も…。」


「まあまあ、落ち着け。取り敢えず、放課後俺の家に来いよな!」


「わかりましたよ…。」













放課後…


「まあ…入りますか。」ピンポーン


と、遠慮なくインターホンを押すと


「おう!来たな。入ってくれ。」ガチャ


と、言ったので(出るの早くないですか…。)と思いつつ、天童家に入った。

3階建の1軒家に入ると、リビングには20代程の見た目の女性が、

ソファに座っていた。


「あら、春馬君。いらっしゃい。」


この女性は天童 美波(てんどう みなみ)。春馬とその奥にもう1人いる


「春兄!久しぶり〜。」


天童 香奈美(てんどう かなみ)、中学3年生。の母である。

(美波さんは、実年齢は確か…。)


「何を考えているのかな〜春馬君?」


「何も考えていませんよ美波さん、お久しぶりです。香奈美ちゃん。」


(危ない危ない…。)と、内心冷や汗をかきつつ平静を装って挨拶をする。


「まあいいけれど…。」


「けど、どうしてここに?」


と香奈美に聞かれ、


「彼方に呼ばれたのですよ。」


と自分も内心、不思議に思って春馬を見た。

彼方は、分かり易く動揺して、


「いいから!俺の部屋に行こうぜ(汗)。」


「ええ…。教えて下さいよ?」


「分かったから!」













彼方の部屋には、様々なゲームの壁紙、特にAOの壁紙が正面に貼られていた。

彼方は側にあったベッドに腰掛けると、


「さて…待たせたn「早く説明を。」…すまん。」


「まず、俺はAOのβテスターだったんだ。」


衝撃の事実!まではいかないが、多少は驚いた。

まあ、いつもゲームばかりやっていたゲーマーなのだから当然であろう。いつもゲームしているせいで、香奈美と共に美波に怒られていたが…。


「なる程…それで?」


「βテスターは、ソフトを2つ貰えるんだ。」


「それを僕に…?」


「ああ。VRメットは、家に余りがあるから持っていっていいぜよ!」


(なんで余りがあるのですか…。)


「でも…香奈美ちゃんには渡さないのですか?」


「香奈美もβテスターなんだ。」


「ふむ…。それで、何故動揺していたのですか?」


「実は…。あれは、親父の奴なんだ…。ああ、許可は取ってあるから大丈夫だぞ。(母さんと香奈美には伝えてないけど…。)」


と一通り会話を終えたところで、春馬は最後の質問をした。


「そのゲームの敵は強いですか?」


すると彼方はニヤッと笑って


「ああ!ボスなんかは超強いぜ!」


「……。分かりました!僕もやりましょう。」ニヤァ

(敵、敵!早く殲滅したい!未知との戦闘!楽しみですねぇ…。)


「ああ…。よろしくな…。」

(こいつ、戦闘狂だあ…。)と彼方は思うのだった。













彼方にVRメットとAOのソフトを貰って3日後ーー。


「あと4日ですか…。先ずはβテスト時に発見した職業やスキルなどを検索しておいた方が良いでしょう。」


と言って検索を始める。


〈現在判明している職業・スキル一覧〉


「これですね。」


戦士、武闘家、魔術師ーーなど。RPGでは見慣れた職業しかなく、

(取り敢えず、今は放置で良いでしょう)

と考えた。スキルも大した物はなかった。

これも、βテスト期間が1カ月という短い期間だったのでしょうがないといえるだろう。

その後、とりあえずの世界観と操作方法を確認して検索を終えた。


「これぐらいですかね。」


そう言って家を出た春馬は、夕飯の買い出しに出かけた。













「〜〜♪」


何気なく曲を聴いていると(イヤホン装着)


「春く〜ん♪」


後ろから何者かに抱き着かれた。まあ誰かは分かっているが。

春馬は、うんざりした様子で答えた。


「椎奈姉さん、お久しぶりです。それと、抱き着くのは止めてください。」


彼女は、鶴城 椎奈(つるぎ しいな)高校2年生。

血の繋がりはないが、春馬の姉であり、昔から春馬をぬいぐるみの様に可愛がっている。


「久しぶり〜!もう、お姉ちゃんで良いのに。」


と、少し不満気味に声を漏らす。


「それは遠慮しておきます。それより帰って来ていたのですね?」


椎奈は、1週間ほど前から修学旅行に出掛けていたのだ。


「ええ。それより、AO貰った?」


何故知っているのか分からなかったが、頷いておいた。


「彼方君から聞いたのよ。私も一緒にやるからよろしくね!」


詳しく聞いてみると、椎奈の父におねだりをして貰ったらしい。

なんとも椎奈らしい発想だった。

その後、買い出しを終えて夕飯を食べ、就寝の時間になった。


「えへへ〜。久しぶりの春君の匂いだ〜♪」


椎奈が春馬を抱き締めて、頬擦りしながら言う。

春馬は、椎奈を宥めつつ、そのまま意識を暗転させていった。













遂に待ち遠しにしていた、AO開始スタートまであと10分。


「にひひ〜。楽しみだな〜。」


椎奈はVRメットの前で、そわそわしながら待ちきれない様子でAOのソフトを眺めていた。


「落ち着いて下さい。あと少しですよ。」


と言いつつも、春馬も待ちきれずにいた。

明らかに身体を動かして気を紛らわそうとしている。


「ほら、スタートしますよ!5、4、3、2、1、ダイブ、オン!」


ーーVRへのダイブを開始ーー。


ーー身体機能正常ーー。


ーー補助機能の必要なしーー。


ーー精神状態安定ーー。


ーーようこそ新たなる世界へ!ーー。













気がつくと、古びた校舎の様な場所にいた。

例えるとするならば、築50年ほど経っており、1度も修復を行っていない校舎のようだ。


「ここは…?」


「ようこそ!ここはチュートリアル専用ステージです。」


と何処からか、声が聞こえた。

《スキップしますか?YES/NO》

と表示されたので、説明は聞くべきだろうとNOを押した。

すると、

《クエスト1〈説明を聞こう!〉を受注しますか?YES/NO》

勿論、YESを押した。


「それでは説明を開始いたします。」

と何処からか、声が聞こえてきた。





ーー to be continued ーー

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