甘く溶けて、最後にじゅわりと染み入る恋

憧れた人がいて、同じように書くようになって、それが自分の夢になった望月ちゃん。
高校を卒業して、書き上げた恋愛小説の原稿を抱えて東京に出てきたはいいけど、結局原稿はクローゼットの中に大切にしまわれたまま。
彼と楽しかった思い出も一緒に、心ない言葉で壊されることが怖くて、出版社へ乗り込む足が止まってしまったわけで。

でもあるとき、サイトへ投稿している小説を楽しみに読んでくれている人に気が付きます。

そして、その読者の人の小説から、なんとなく既視感が滲んで、だんだんと懐かしい高校生のあの頃のことを思い出して──。

立ち止まって遠い目をしてはいられない。
向かい来る抗えない現実に、望月ちゃんは向かわねばならない。
交差するとき、何を選びとるのかが必見です。


合作小説の女性サイドな当作。
わかりやすいよう、次話のURLが最後に貼ってあるので迷子にならずに読んでいけます。
細かい何気ない言葉選びが、繊細で、物語へ引き込んで、心を掴まれて、の連続でした。