第3話  行きたくないのでサボります!


「昨日は疲れた〜。」

そう言って放課後、机に突っ伏しているとまことが話しかけてきた。


「昨日、戻って来たらいなくなっていたから探したぞ。」

昨日は誘拐?されていたからな......。ていうかすごく酷かった。

「すまん、すまん、昨日は色々とあったんだよ......。」

「そうなのか......。」

真が怪訝そうにしながらも納得してくれた。

よかった〜。納得していなかったら、先輩達に引き渡さないといけなくなるところだったよ。


「それよりも廊下いつもよりも、騒がしくないか?」

そう、今さっきからかなり騒がしくなっている。気になっていたので聞いてみた。

いつもは、もっと静かなのに......。

「それは、この学校のアイドルがいるからだな。」

「アイドル?」

何それ、その人恥ずかしくないのかな?かわいそうに......。

「お前知らないのか⁉100人から告白されて、全員振ったという伝説を持っている人だぞ!」


その人って......。なんかすごく嫌な予感がするナ〜。


バン!!!


するといきなり教室のドアが開けられた。恐る恐るそこを見ると、夜見よみ先輩と琥珀こはく先輩が立っていた。


「やばい!」

俺は猛ダッシュで逃げ出したが、一歩遅かった。

夜見先輩と琥珀先輩は、何処からもなくひもを取り出し投げつけてきた。

先端は輪っかになっており、ピンポイントで首に巻き付いた。


「ぐえっ、ゲホゲホッ。」

「ふん、自業自得よ。まさか初日からサボるなんてね。」

「ほんと酷いですよ〜。」

先輩達は、悪びれた顔もせずに平然と話していた。

その一連の行動を見ていた真が、恐る恐る聞いてきた。

「あ、あのー。コイツ、先輩達が入っている部活に入ったのですか......?」

「そうよ。だけど、ちょっとだけ違うわ。」


真はその言葉に怪訝そうしながら聞いてきた。

「何が違うのですか?」

「それは、なんだっけ?まぁいいわ。そういう事で借りていくわね。」

夜見先輩は答えずにひもを持って部室に歩き始めた。もちろん俺は、引きずられていった。

周りの人は、怨念や哀れみなどの目で見てきていた。



また俺は、イスに縛り付けられている。なんかすごく既視感デジャブだ。

「あの〜。このひも、解いてもらえないでしょうか?」

「そうだ!トランプしよう?」

「いいですね!晴人さんもそう思いますよね?」

む、無視された......。ていうか琥珀先輩の顔が怖い。口は笑っているのに目が笑っていない。怖っ!


「そ、そうですね!しましょう、トランプ!」

俺は身の危険を察知したので同意することにした。


「で、バツゲームは何にする?」

夜見先輩がとんでもない事を言い始めた。何故とんでもないかって?

それは...。一回もトランプで勝った事が無いんだ......。

マジで悲しい......。


「それなら、ここにケーキがあるので負けた人は勝った人からあ〜んをされるというのはどうでしょうか?」


......。ちょっと何って言っているのかのかわからない。ていうかそれは恋人同士がやるやつでバツゲームでする奴じゃない!阻止しなければ!


「そ、それはやばいんじゃないんですか?もっと、まともな奴にしましょうよ。」


そう言うと夜見先輩は何を言いたいか気づいたらしく顔を真っ赤にして言った。

「そ、そうよ!やっぱりそれはやめた方がいいんじゃないかな〜。」

琥珀先輩は納得してなさそうな顔をしていたが、二人から説得されたのでで渋々、諦めてくれた。


そんな事がありながらも、トランプ大会が始まる事になった。ちなみに、バツゲームはなしという事になった。


1回戦目 ババ抜き


「やったー!一番!」

「私もあがりです。」

「ま、負けた......。」

一枚も減らせなかった......。


1位、夜見先輩

2位、琥珀先輩

3位、俺


2回戦目 7並べ


「あがり!手札が良かったわ!」

「こっちも良かったです。」

「がはっ......。」

手札にはJとQとKが勢揃いしていた。


1位、夜見先輩

2位、琥珀先輩

3位、俺


3回戦目 大富豪


「晴人...。弱すぎじゃない?」

「すみませんでした......。」

バタッ(倒れる音)


1位、琥珀先輩

2位、夜見先輩

3位、俺




「晴人、トランプで勝ったことある?」

「ありません......。」

チクショー!本当は勝ちたいんだぞ!

なんか、悲しい......。


「まぁいいわ、今日の部活はここまで!じゃーねー。」

「今日は楽しかったです。また今度しましょう。」

そう言い、先輩達は帰っていった。


「俺も帰るか......。あっ。ひも解かれていない!誰か助けて〜!」


30分後、夜見先輩が思い出して帰ってきた。


明日こそ行かないぞ!


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