IF:家族のカタチ

「寝れない……」


 明日も朝早くから練習があるのに、深夜の二時を過ぎてもまだ僕の目は冴えたままだった。今日の試合後に交わした少ない会話が、何度も頭の中で再生される。小さく、けれど強く呟かれた彼女の言葉が、今も耳に残っている。

 明日の昼から会おうと言ったのは僕からだ。ベッドに入る前、数日ぶりのラインで時間も決めた。なぜかまたうちに来ることになったけれど、まあ場所はどこでもいい。

 しかし、大丈夫だろうか。伝えたい気持ちも言葉も決まっている。けれと一日経ってしまったら、それをちゃんも告げることができるだろうか。

 募るのは不安ばかり。今日、あの時、勢いに任せて言ってしまっていた方がどれだけ楽だったか。これで明日失敗してしまえば、多分邪魔をした小泉のことを一生恨むかもしれない。本人にはザマァ見やがれですとか言われそうだけど。

 いや、明日失敗してしまうようであれば、いつ言ったとしても同じだ。だから腹をくくるしかない。

 そんな風に覚悟を決めたからといっても、素直に今すぐ寝れるわけもなく。水でも飲もうかと部屋を出ると、リビングの灯りがまだついていた。うちの家族は父さんの仕事もあって基本的にみんな寝るのが早いのだけど、誰が起きているのだろうか。まさか不審者でもあるまい。

 扉を開けた先のリビング。ソファに腰掛けていたのは父さんだった。テレビに流れているのは野球の試合。けれど普段の中継とは違い、マウンドに立つ父さんのみが映されている。チームの人が撮影した映像なのだろう。

 その映像を時折停止させ、巻き戻し、なにかを手元のメモ帳に書いていた。その瞳は真剣そのもの。普段僕と接している父親のものではなく、僕が憧れ尊敬するプロ野球選手、夏目祐樹としてのものだ。


「まだ起きてたのか?」


 映像を一時停止してこちらに振り返った父さんは、しかし既にいつもの優しい父親の顔へと戻っていた。

 キッチンでコップに水を入れながら答える。


「ちょっと寝れなくて」

「なんだ、今日の試合でやらかしたか?」

「まさか。無失点の完封だよ」


 コップを持って父さんの隣に腰を下ろす。テーブルの上に置かれているメモ帳には膨大な量の書き込みがされていて、そこには父さんの努力が詰まっていた。

 世間では天才だの野球に愛されただのと勝手な評価を下されているけれど、父さんだって他の選手と変わらない。多くの研鑽と研究を重ねてマウンドにに立っている。

 リモコンを操作して、一時停止していた画面が動き出した。


「この映像、智樹から見てどうだ?」

「あんまり目新しいことは言えないよ」

「いいから、遠慮せず言ってみろ。お前の勉強にもなる」

「じゃあ……。あくまで昔の父さんと比べると、だけど。踏み込みがちょっと浅いかな。昔ほどボールに体重が乗ってないんじゃない? だからこの前も、完封したとは言えヒットはそれなりに打たれてたし」

「こいつは手厳しい」

「遠慮せずって言ったのは父さんだよ」


 二人で顔を見合わせ、笑みをこぼす。僕たち家族のような近しい人間にしか見せない、子供のような父さんの笑顔。それは誰にだって存在する。特定の誰かにしか見せない、誰かには見せられない表情が。

 僕にも、白雪にも。


「智樹は、将来どうするつもりだ?」

「随分と急だね」

「中々そういう話をする機会っていうのもなかったからな」


 流れていた映像を消し、メモ帳を閉じた父さんが僕に向き直る。そしてその質問には、悩むことなく即答した。


「もちろん、プロだよ」

「そうか。なら、智樹が球界に入ったら父さんは引退だな」

「えっ」


 なにか、とても衝撃的なことをサラッと言われた気がする。


「いや、え、ちょっと待って。待って父さん。なにそれ、どういうこと?」

「どうもなにも、今言った通りだ。智樹が無事にプロ入り出来たら、父さんは引退する。そしたら智樹の活躍を見ながら、有紗とゆっくり過ごすことにするよ」

「そういうのを聞きたいんじゃなくて……なんでそんな急に……」

「別に急ってわけでもない。有紗とは、母さんとは何度かそんな話をしたしな」

「でもっ! ……僕は、聞かされてない」


 夢が、あったのだ。叶えたい夢が。いつも見ていた夢が。

 プロに入ること? いや、そんなものは通過点に過ぎない。沢村賞や新人王のタイトル獲得だって、それに比べれば小さなもの。

 父さんと同じチームで野球がしたかった。

 父さんと違うチームで投げ合いたかった。

 そのどちらでも良かったんだ。どちらが叶うかワクワクして。その日が来た時のために死に物狂いで練習して。

 県内一の投手だなんて言われても、三年生を差し置いてチームでエース番号を託されても。それは全て、夢を叶えるための糧でしかなかったのに。


「悪いな智樹。でも、もう決めたことなんだ。なにも今すぐに辞めるってわけじゃない。少なくてもまだあと一年は続ける。でも、さすがの父さんも歳には勝てないんだよ。情けないことにな」


 その夢が、こんなにも突然崩れてしまった。今まで目指して来たものが、道しるべが消えてなくなった。


「なんで、言ってくれなかったんだよ……」

「智樹が俺の家族で、俺たちの息子だから、だな」

「なんだよそれ……なんも分かんないよ……」

「いつか分かる時が来るさ。そうだな、お前と桜ちゃんの間に子供ができた時に、分かるかもしれない」


 場を和ませようとしたのであろう冗談にも、今は突っ込む余裕がない。

 俯いてなにも言えない僕の頭に、大きな手が乗せられる。大きくて、ゴツゴツした野球選手らしい手だ。

 少し乱暴な手つきで僕の頭を撫でる父さんからは、苦笑した気配が。


「誰かの背中を追いかけるのはいいが、それに囚われるなよ。母さんがいつも言ってるだろ。見える世界を拡張しろってな。お前はもう、俺の背中を追わなくてもいいんだ」

「僕はまだ、父さんみたいな選手にはなれない……」

「それでいいんだよ。父さんみたいにならなくてもいい。お前はお前らしくあれ」


 僕の頭から手を離した父さんは、立ち上がってメモ帳やディスクを片付け始める。

 僕らしさなんて、僕自身にも分からない。僕の野球人生には常に父さんの背中があった。そこを目指して、いつか追い抜かすために歩みを進めた。

 なら、それを失くした僕は。一体なにを目標に頑張ればいいんだ。


「ほら、もう部屋に戻れ。明日も早いんだろ?」

「うん。おやすみ、父さん」

「ああ、おやすみ」


 答えは出ない。少なくとも、今の僕には出せそうにない。

 胸にポッカリと穴が空いた気分だ。明日からどう練習に取り組めばいいのかも分からなくなるくらいに。

 でも、そんな僕の頭の中に浮かんだのは、何故かあの子の笑顔だった。





「あの子には、悪いことをしちゃったかもね」

「なんだ、起きてたのか。てことは全部聞いてた?」

「んー、多分途中からじゃない? 智樹に将来のこと聞いてたとこから」

「じゃあ殆ど全部だな」

「……ごめんね、祐樹くん。全部任せることになっちゃって」

「有紗さんが謝るようなことでもない。智樹も、聞くなら俺の口から聞きたかっただろうしな」

「あの子の夢、知ってた? 祐樹くんには言ってないと思うけど」

「ある程度は察してるよ」

「私には、昔からずっと言ってたのよ。お父さんと同じチームで一緒に野球したい。それが出来なくても、同じ試合で戦いたいって」

「叶えてやりたかったなぁ……」

「そうね……」

「でも、あいつなら大丈夫だ。今は色々と混乱してると思うけど、絶対に正しい道を進める」

「ええ。だって、私たちの子供だものね」

「それに、導いてくれる子もいる。俺にとっての有紗さんみたいに」

「明日、うちに来るそうよ」

「おお! なら明日は赤飯だな!」

「んー、それは気が早いんじゃないかしら」








 一夜明けた今日。当然のように練習には身が入らず、チームメイトや顧問から心配されながらもなんとか乗り越えた午前。

 家に帰り、風呂に入って昼飯を済ませて約束の時間まで待つも、やはりどこか現実感がない。

 昨日の夜中に父さんと交わした会話は、本当は夢の中の話だったんじゃないのかと思ってしまう。たしかに父さんはもう四十を越えているし、昔に比べて随分と発揮できるパフォーマンスも落ちてきた。

 永遠なんてない。いつかは父さんだって引退する。野球選手じゃなくなる。

 それでも、僕にとって父さんは。いつでも、いつまでも憧れのスターで。父さんが引退するなんて、考えたこともなくて。

 夢はいつか叶うものだと思っていた。そのための努力は一欠片も惜しまなかった。

 叶うわけがなかったんだ。だって、僕は父さんになにも言わなかったじゃないか。伝えていなかったじゃないか。いつかあなたと肩を並べてプレイしたいと。

 それを怠ったのは僕自身なのだから。他の誰でもない。僕が僕の夢を壊したんだ。

 こんな思考が頭の中を渦巻いているのに、これから白雪と会ってまともな会話が出来るのだろうか。伝えたいことを伝えられるのだろうか。

 そんな不安をいくら抱いても、時計の針は止まってくれない。やがて待ち合わせの時間が近づき、きっちり五分前に家のチャイムが鳴った。

 父さんは当然試合があるのでいないし、母さんは気を利かせてどこかへ出掛けてしまったので、今この家には僕一人だ。だから僕が出ないといけないわけで。

 重い腰を上げて立ち上がり、玄関へと向かった。


「こんにちは、夏目。昨日ぶりね」


 扉を開いた先には、もちろん白雪が。その姿を見て、一瞬言葉を失ってしまった。

 いつもは薄く施してるだけの化粧はしっかり念入りにしてきたのか、普段よりも大人びて見える顔立ち。オフショルダーのシャツを着ているから露出度も高くて、しかもそれがやけに似合っている。控えめにはにかんだその表情からは、僅かに滲んでいる羞恥の色。

 さっきまでのマイナスな思考が全て吹っ飛んでしまうほど、僕は白雪に見惚れてしまったのだ。


「ああ、こんにちは。とりあえず上がってくれよ」

「そうさせてもらうわ」


 それを悟られないようにして白雪を家の中に招く。幸いにしてなにも追求されなかったということは、気づかれなかったということか。まあ、その辺りを今更隠すことに意味があるとは思えないのだけど。

 せっかく家に誰もいないのでリビングまで案内し、キッチンでコップ二つに氷と麦茶を入れた。最近は暑くなってきたし、コーヒーもいいけどやっぱり麦茶だよね。

 隣り合ってソファに座り、こちらから話を切り出す。


「悪いね、わざわざ来てもらって」

「別にいいわよ。それより、今日はおばさんは?」

「どっか出かけた」

「そう……」


 両手で持ったグラスを呷る白雪は、いつもより縮こまって見える。

 嫌でも意識してしまうのだろう。二人きりというこの状況を。昨日あんな中途半端な会話をして、中途半端な別れ方をしてしまったから、余計に。

 中途半端といえば、今の僕の心境もそうなのだけど。

 自覚した彼女への想い。そこに嘘偽りはない。こうしてちゃんと話す場を設けたのなら、それを伝えることだけを考えていればいいのに。父さんと交わした会話が、どうしても脳裏にチラついて。


「……本題に入る前に、聞いておきたいんだけど」

「ん?」

「なにか、あった?」


 心配そうに眉尻を下げて僕の顔を覗き込む白雪。不意に距離が近づいて言葉に詰まる。少し前まで当たり前だった距離。なにも思わなかったはずの。でも、今は違う。

 なにかを言おうとして、しかし口から漏れたのはため息だった。


「君に隠せるわけないか……」

「当然よ。これまで隠し通せた試しがないじゃない」

「それもそうだ」


 例えば、些細な怪我や病気を隠して練習していた時とか、この子の誕生日プレゼントを黙って買ってサプライズで渡そうとした時にも。なぜか白雪は全部見抜いてしまうのだ。プレゼントの方は分かっても黙っていて欲しかったけれど。


「私とのこと、じゃなさそうよね」

「……うん。父さんと、ちょっと」

「喧嘩でもした?」

「いや、そんなんじゃないんだけど……」


 ぽつぽつと、昨日父さんと交わした会話を白雪に話した。僕の将来と、夢のこと。父さんが引退すること。僕らしくあれと言われたこと。それが分からないこと。

 白雪は黙って、けれど真摯にその話を聞いてくれて。最後まで話し終えた僕の手を、そっと握った。


「おじさんの気持ち、少しだけ分かる気がするわ」

「父さんの?」

「ええ。でも、あなたの気持ちも分かる。今まで目指していたもの、目標にしていたものがいきなり消えたら、戸惑うのも当然だもの。私も、そうだったから」


 少しだけ、白雪本人から聞いたことがある。

 小梅ちゃんとのこと。白雪が妹に対して、どのような感情を持っていて、どのように接していたのか。かつての白雪は、その複雑すぎる感情ゆえに自分の全てを妹に捧げようとした。そうあるべきなのだと、そうしなければいけないと。半ば強迫観念に駆られて。

 その話を聞かされた時には、もう過去の話だと言っていたけれど。


「目指すべき場所があるのはいいことよ。なにか目標がないと、モチベーションを保つのは大変だもの。私の場合は目標というには少し歪すぎたけど」

「でも、今の君は違うんだよな?」

「ええ。あなたには少しだけ話したわね。小梅のことはもう吹っ切れた。完全にとまではいかなくても、変なコンプレックスを抱いてバカな真似はしなくなった。そんな経験がある私から言わせてもらうけど」


 一度言葉を切った白雪の、その瞳が僕を射抜く。強い光を携えた綺麗な瞳が。

 ともすれば、相手にキツイ印象を与えそうな切れ長の目。いつもは柔らかい笑みに縁取られているそれが、僕を見据えていた。


「目標があることはいいことよ。こうありたい、こうなりたいと願うのは、人間であれば多かれ少なかれみんながすることだもの。でも、それに囚われすぎてはダメ。いつか、自分を見失ってしまうから」


 父さんが言っていたのと同じだ。あの人の背中を追いかけるのはいいが、それに囚われるな。世界を拡張しろ。僕は僕らしくあれ。

 言っている意味は解る。でも、判らない。


「なら、僕はどうすればいい……? 僕らしさってなんだよ……今までずっと、父さんに憧れて、あの背中を目指して練習してきたのに……僕はこれから、どこを目指せばいいんだよ? そもそも、父さんと母さんの二人だって、僕の気持ちを分かっててどうしてなにも言ってくれなかったのか。それすら教えてくれなかったんだ。なのに本人だけ納得したような顔してさ……」


 ああ、これはただの我儘だ。欲しいオモチャを買ってくれない子供が泣き喚いているのと変わらない。自覚している。していても、それでも止められない。

 僕の中では、夏目祐樹という存在がそれほどに大きかったから。父であると同時に、目指すべきひとりの野球選手でもあったから。


「家族だから、でしょうね」

「家族だからこそ、僕にも言ってくれるだろ、普通は」

「家族であり、あなたがおじさんの息子だからよ。きっとおじさんは、あなたの中にある憧れを壊したくなかったんじゃないかしら。あの人も、苦渋の決断だったんだと思うわ。息子の夢を壊したくないって気持ちは、絶対にあった」

「なら、なおさら……!」

「ええ、そう。なおさら、よ。家族であり息子であるからこそ、あなたのことを信じたの」


 僕の手を握っていた白雪の手が、僕の頭の上に置かれる。一人で勝手にヒートアップしていた僕を宥めるように。昨日父さんにされたのよりも、ずっと優しく撫でる。

 その顔に浮かべられているのは、とても穏やかな笑みだ。


「あなたなら大丈夫だって。おじさんの背中を追うようなことをしなくても、自分だけの道を見つけられるって。そう信じたからこそ。おじさんは決断できたのだと思うわ」

「……じゃあ、さ。君は、僕らしさってなんだと思う?」

「さて、なんでしょうね。私はあなたじゃないから完全に分かるわけじゃないけど。でも、そうやってクヨクヨ悩んでいるのはあなたらしくないわ。何事にも全力で挑む。立ち塞がる壁はぶち壊して、邪魔する敵は全て薙ぎ倒し力で捩じ伏せる。それがあなたでしょう? なら今は、ただがむしゃらに好きな野球と向き合えばいいのよ。新しい目標なんてそのうち見つかるわ」


 胸に空いていた穴が、塞がった気がした。ただ白雪から言葉を貰っただけで、一気に満たされた。

 見える世界を拡張しろ。それ以前の問題だ。見えていたものすらも見えなくなるほどに視野を狭めてしまって、大切な家族の信頼すらもフイにしてしまうところだった。

 何事にも全力で。いつだって僕はそうしてきたじゃないか。なにも父さんを追いかけるための努力だけがそれに当てはまるわけじゃない。勉強ひとつしたって、そうやって来たから今の成績があるわけで。

 でも、と言葉を継いだ白雪の頬は、少しだけ赤くなっている。


「もしも。もしもあなたが、私と同じ気持ちなら。一先ずは、私のために頑張ってくれる?」

「それって……」

「知ってるでしょう? 私、あなたがマウンドに立っている姿が、目の輝きが、なによりも好きなの」


 白雪の手が頭から徐々に降下し、頬に添えられる。

 こうして直接、その言葉をぶつけられたのは出会った時以来だ。長くなったつもりの付き合いの中で、しかし一度しか聞いたことのなかった『好き』という二文字。

 頬に添えられた華奢な手に自分の手を重ねて、返事を口にした。


「君が好きなのは、マウンドに立っている僕だけ?」

「……全部好きに決まってるでしょ。言わせないでよ、バカ」


 拗ねたようにそっぽを向く白雪が可愛くて、つい笑みが漏れてしまう。

 重ねた手で彼女の体を抱き寄せる。とても小さくて、温かくて、大切な存在が腕の中に収まった。

 この子とずっと一緒にいたい。いて欲しい。この子のことがもっと知りたい。知って欲しい。そんな願望を無遠慮にぶつけたいし、ぶつけて欲しい。


「じゃあ、君のために頑張るよ。一先ずなんて言わずに、これからずっと」

「……うん。期待してるわね」


 だからこの感情は、これから育んでいくもの。目指すは父さんみたいな野球選手。けれも頑張る理由はもう違う。いつか、愛と呼べるものにするため。一緒にいる未来を、当たり前にするためだ。




「……ところで、私は今日からあなたの彼女ってことでいいの?」

「うん、まあ、そうなる、かな?」

「そこで疑問形にならないで欲しいんだけど……でも、そうよね、今日からあなたは私の恋人なのよね」

「あの、恥ずかしいからあんまり繰り返さないでくれる? 僕にも人並みの羞恥心ってのはあるんだぜ?」

「……いっぱい甘えていい?」

「……もちろん。喜んで甘やかしますよ、お姫様」

「じゃあ、まだ暫くギュってしててね」

「お望みとあらば」

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