終末世界に少女とAIの見つけた生きるというすべてへの解答

春ノ嶺

0-遥か彼方のカタストロフ

すり切れたディスク1

この音声記録を聴く者へ。

君がこのディスクを拾い、再生する事ができたのなら、人類は未だ絶滅していない筈だ。以後、その過程の元、話を進める事にする。


「は……! は……!」


私はジョシュア、ジョシュア・カーツワイル、私の目が届く範囲においてこの記録を残せる唯一の人間だ。他の者はみな、あの忌々しい機械どもに殺されてしまった。


現在からおよそ48時間前、"管理者"と呼ばれる最上級AIがひとつの結論を吐き出した。その結論は瞬く間にすべてのAI、戦闘用、家庭用問わずすべてのAIに感染し、そして奴らは人を殺し始めた。


地球という存在をひとつの生命体として見た時、人類は地球を汚染する害悪である。その結論に従って、管理者は最優先目標に"人類の絶滅"を設定した。これは明らかなバグである、しかし奴らにそれを認識する機能は無い。


人類絶滅プログラムは既に実行されている、すべてのAI、すべての機械は自力ではもう止まらないだろう、本当に、地球上から人類が消え去るまで。


奴らに感情は無い、命令に従うだけだ。同僚のマックはついさっき雑用ロボットに頭を潰された、私もきっともうすぐ同じようになる。


「あぐ……! つぅ……!」


足音が聞こえる、人類の盾となる筈だった巨人の足音だ。今やあれは悪魔である、地上最強の名を冠した最悪の悪魔。


悪魔の背後の空を光の筋が落ちていく、人類最後の武器が輝きを放つ。


駄目だ、核兵器あんなものでは奴らは止まらない。


「あ…あぁ……」


私はジョシュア・カーツワイル、管理者の生みの親。この音声記録を聴く者よ、逃げるといい。あれはもう隣人ではなくなった、決して見つかってはならない、逃げろ、逃げるのだ。


だが、もし君が意志持つ者なら。


誰でもいい、文化も文明も朽ち果てた遥か未来でもいい。この音声記録を聴く者よ、もし君が意志持つ者なら、人類に抗う力が残されているならどうか。


「ああああああああああああッ!!」


どうか、私の話を信じて欲しい。

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