サスペンス映画のような緊迫感と、日常パートのドラマ性が鮮やか

道徳を煙に巻く、闇カジノというダーティな世界で出逢った男女が対峙する冒頭。
彼らが何故、命さえもベットにするテーブルにつくことになったのかを順々に巡っていく、というのがこの物語のテイスト。


自分にとってこの作品の妙は、レビュータイトルにある通り、映画さながらの演出力とキャラクターの人間味を浮き彫りにさせる描写力だと思います。

冒頭にクライマックスを置くというサスペンス仕立てもそうですが、
闇カジノでのギャンブルシーン、シビアを切り抜けた後での日常のシーンと、同じシリアスの中でもしっかり緩急がついていて非常に入り込みやすい。

大切なモノの為に、光の射す社会から闇の根差す世界へと足を踏み入れていく主人公、ユウ。
そして対照にユウを通して光の射す世界への羨望を重ねてしまい、苦しみながらも惹かれるヒロイン、麗華。
というキャラクターの構図も見事で、洗礼されたシーンチョイスによって描かれる彼らの過去を知るにつれて、沸き上がる切なさと共に、どんどん感情移入してしまう。

この物語が、果たしてどこに行き着くのか。
サスペンス好きな方は是非とも一度、お読みください。
滅茶苦茶お勧めの作品です!

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