世間から嫌われている世界最強の『勇者』が敵である彼女と共に戦いを終わらせに行く

じぇみにの片割れ

第X章

第X話 きみと私のいるべき場所

「──ねえ、私たちはどうして戦っていたんだろうね」


 少女の声に答えはなかった。彼女の傍らに倒れ伏している少年からは何も。

 少女の頬を涙が流れていく。その一粒が堪えきれなかったせいで、彼女の瞳からは涙が溢れ出てきてしまう。


「……どう、して……私ときみ、は……っ」


 声が詰まり、少女の言葉はすぐに嗚咽へと変わっていった。抑えきれなかった涙が滂沱と流れて少年の身体へと落ちていく。

 少女は大声で泣き続けていた。


 ──それでも、答えはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る