ガーネットの明かり

ざっと

Cp.00 おはよう、クソッタレな世界

 モグラ、と呼ぶ声で目を覚ます。外は星明りだけの夜闇が広がっている。照明のない、人の気配もないひっそりとした山奥、その中腹にある洞窟の中で、堅い地面から身をおこす。

 洞窟の入り口では男が二人、猟銃を手に立っている。その横で燃える松明の明かりが、真昼の太陽のように眩しい。

 眉間にしわを寄せながら男たちの方を見ていると、仕事の時間だ、と怒鳴りつけられる。静かな洞窟内の中に男の汚い声がこだまする。

 うるさい、耳に障る。そう口の中で呟き、枕元に置いた仕事道具を持って立ち上がる。かたくなった体の節々が、立ち上がるのと同時にペキペキと音を鳴らす。

 今日も、私にとっての朝がきた。光のない真っ暗な洞窟の中で、ひたすら石を掘り続けるだけの、私にとっての朝が……――――――

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