第20話
哀愁を響かせて夜汽車が遠ざかる
過去の記憶はすでに曖昧で
去っていった人の顔も思い出せない
たくさんの微笑みと悲しみと戸惑い
無くさない様にとしまったポケットは何処に
走り去った後のホームに一人たたずむ
街明かりさえ何億光年の果て
灼きついたフィルムも色褪せて
乱雑に散らかったまま途方に暮れる
忘れた記憶の中を今夜も汽笛が遠ざかる
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