空席

硬い木のささくれ

焦げ跡が

テニスシューズをぶら下げる

道連れにされた

嫌だな、と思う

僕には関係のない話がしたい


柔らかい皮の感触

ある日の苦悶、痛みに耐える

寝心地には自信があって

駆動音が煩わしい

曲面を切り分けた

この話に、僕は関係していない


固定されていた繊細

ゆらめくごとに負担をかける

酔いがまわって

原色に近い潮風が

誰にも関係のない話がしたい


裏側に隠れた時間

危険! 触らないでください

信号機、あるいは白く

隠蔽されてしまった

この話には、誰も関係していない


すました顔で目を閉じる

残り時間を空費する

おはよう、おやすみ

足首から先はどこまでも続き

それは矛盾という概念を焦がした

結局は、誰のためでもなく


――――――――――

帆場蔵人様の自主企画『お題は『椅子』で詩を書こう!』参加作品です。

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