異星人とカップラーメン

六畳一間の部屋でお湯が沸くのを待っている

古びた畳に指を押し付け、今か今かと待っている


ヤカンが悲鳴をあげている

私は火を止め、それを持ち上げる

重い、重い

故郷には、こんな重いものはなかった

自分の身体でさえ、ぷかぷかと浮いていたのに


口を開けた容器にお湯を注ぐ

冷めないように、蓋の上に重石をのせる

疲れきって、倒れ込む

植物の匂いがした


身体が重い

眠たくなる

植物に抱かれている

私、このまま死んじゃうのかな

眠い、眠い


地面は好きだ

安心感がある

故郷にはなかったものがある

空を飛ぶことはできなくなっても

ここにいたいと思えるような


幾ばくか、時間が経って

容器の蓋をそろりと剥がす

薄い湯気が立ちのぼる


食べたら寝よう

目覚ましを、200年後にセットして


両手を合わせて、いただきます

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