第8話

四人を見送った二人。


藍衣、躊躇いがちではあるが、真白に向かい口を開く。


藍衣 真白。私の話を聞いてくれる?


真白 いいですよ。


藍衣 ⋯ありがとう。


少しほっとした様子。


藍衣 私、生まれた時からずっと、あなたを守らないといけないと思ってた。間違えてしまわないように、正しい道を歩けるように、と。


藍衣 けれど、それこそが間違いだった。それこそ破滅を招く誤ちだった。


藍衣 ねえ。あなたは、理性は要らないものだと思う?


真白 ⋯いいえ。


真白 自我は大切なものです。でも、理性だって、同じように大切です。もし自我が暴走してしまったとき、それを抑えてくれるのは理性ですから。要らないなんてこと、ありません。


藍衣 ⋯そう。


真白 私の為を思って行動をしてくれる人がいてくれるなんて、嬉しいです。


藍衣 真白⋯。


真白 何て言うんでしょう、つりあい?みたいなものが重要なんじゃないでしょうか。


藍衣 つりあいね⋯。


真白 その時その時に合わせて、自分を変える。⋯そんな器用なこと、出来るかわかりませんけど⋯。


藍衣 あなたなら出来ると思うわ。


真白 そうですか?


藍衣 ⋯ええ。私が言うんですもの。あなたなら平気。私が信じたいから、信じるわ。


真白 ⋯ありがとうございます。


藍衣 いいえ。こちらこそ無駄話に付き合ってもらってありがとう。


真白 ⋯私、決めた。私はどう行動するのか。ちゃんと、決めた。


藍衣 そう。


真白 ⋯またね、藍衣ちゃん。


藍衣 ええ、また。


真白は、歩き出した。

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