第4話意外とイイコ君!?

学生ってウザイ先生の一人や二人はいるもんだ。

私だっているよ?麻山先生って人だ。

ボブのヘアスタイルにビシッと決まったスーツ。

とにかく口うるさい。

修学旅行では、ずっと私に付きまとっていた。

第一忘れ物した私がいけないんだけど。

でも、修学旅行は友達と一緒にまわりたいじゃん?

そして買いものをしたいじゃん?

友達との買いものだって何も付きまとって来なくてもと思った。

しかも、あれは買ってはいけないダの口うるさく、もう迷惑で迷惑でたまらなかった。

保育園からの幼馴染み、ななはちゃんと買いものをしていると、何だかアイスクリームが食べたくなったので、近くにいた佐々木先生に、

「アイスクリーム買っていいですか?」

と聞いてみた所、快く、いいわよ、と言ってくれた。

「やったー。」

二人は喜んだ。

ふと私は、今年のななはちゃんの誕生日を祝ってなかったのを思いだし、

「誕生日、何もあげれてなかったから、アイス好きなのなんでも買ってあげる。」

と言って、私はななはちゃんにアイスを奢ろうとした。

「じゃあ、マスクメロンがいいな。」

彼女がそう言ったので、私が、店員さんに

「抹茶とマスクメロンのレギュラーください。」

と口に出そうとした所、それを目敏く聞き付けた麻山先生が私に向かって、

「ダメよ。」

と刺々しく言った。

「でも、佐々木先生が……。」

ななはちゃんが反論すると、麻山先生は二人をキッと睨み付けて、

「佐々木先生が良いって言っても私がダメって言ったらダメよ。」

と言われておわり。

私たちは言い返す事さえ出来なかった。

「ごめんね……、ななはちゃん……。」

私が謝ると、彼女は

「また今度でいいよ。」

と笑ってくれた。それだけが救いだった。

麻山先生のおかげで私の修学旅行はちっとも楽しくなんかなかった。


そして、給食の準備中の出来事だった。

隅っこで弘樹君と来斗君がじゃれあっていた。

二人は有名な仲良し組だ。

私が、(本当に仲良しだな~)と思っているとそれをまた目敏く、麻山先生が見つけて、

「弘樹さん、あなたって人をいじめるような人だったんですね。」

と彼を頭ごなしに叱りつけていた。

ちょっと、先生、これのどこをどうみたらいじめに見えるんですか!!

って思ったけれど口に出せず。

そしたら弘樹君が、

「あーあ、またうるさい人がきた。ちゃんと見てもないのになんでも決めつけるのは良くないですよ?」

と言ってのけた。

麻山先生は悔しそうにしていた。

麻山先生はそれが気に入らなかったのか、近くにいた卓也君に八つ当たりをしていた。

「あなた、ちゃんと仕事をしていないじゃない!」

「はっ?ちゃんとやってますけど?先生、そんなんだから嫌われるんですよ。」

卓也君がそう言った。

私は、

(弘樹君、卓也君、ナイス!!)

と思い、心のなかで、密かに拍手をした。

よくよく思って見れば、卓也君逹三人は優しい所あるし、全然悪い人じゃない。

修学旅行で荷物が重くて困っていると、卓也君が持ってくれたし、壊れたシャーペンを直してくれて、また使えるようになったし。

終業式の日、荷物が多すぎて困っていたら、悠真君が入れ物を渡してくれ、

「あげるから使え。」

ってくれたのだ。今でもありがたく使わせてもらっている。

この前は、筆記用具を部室に忘れてしまい、そしたら、弘樹君が走って届けてくれた。

美波ちゃんはいつでも私を和ませてくれる。

奈緒ちゃんは、私がこぼしたシャーペンの芯を拾ってくれた。

私はそれを思い出すと、途端に7班が自慢に思えてきたのだった。

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