拝啓 フレドリクソン

拝啓 フレドリクソン


フレドリクソン、お久し振りです。


久しく会っていない君に、懐かしい思いで手紙を書いています。

近頃ではだいぶん夏の勢いが去り、私は私の好きな秋をのんびりと楽しんでいます。

そちらの気候はいかがですか。


フレドリクソン、君と離れて過ごす年月のあいだに、私はまるきり馬鹿になってしまったのですよ。もう、昔の私ではないのです。

あの頃の私はとても快活で、ものごとの奥底を探ろうと繰り返し考え議論したものでした。そう、君と一緒にね。

しかし今はもうそれが出来ないのです。今の私を知っている人たちは、私のことを尋ねられるのなら「ああ、あのぼうっとしていての足りない人ね」と、きっと言うことでしょうね。情けない話ですが、考える体力も残されていないかのように、頭も体も、重いのです。


一体何がどうなってしまったのか。私にも分かりません。

私は度々訪れる脱力した夜をやり過ごすのに、四苦八苦しています。

君ならばこの気持ちを分かってくれるでしょう?

懐かしき友、フレドリクソン、私は悲しいのです。


では、お元気で。


敬具

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