第10問 最終問題 解

さて、これが最終問題となる訳ですが如何ですかね?


それは私が解けるかどうかという事なのか?


そのつもりですが・・・


貴様、いい覚悟だ。

まぁこれくらいの問題なら直ぐに解けるな・・・


ではお聞かせ願いますか?


ふんっ、一目見れば分かるだろ!

これは右側の数字から上の数字を引き算した答えが記されているのだ。

だから答えは『15』だろ?


ふむ・・・そうですね、では彼は間違っている訳ですね。


なに?・・・ハッやっぱりアイツは馬鹿だな、答えが『12』だと?

まぁだからこそウィルスの被験者に相応しいとも言えるがな。


それでは彼を被験者にすると言う事で宜しかったですか?


あぁ、お前もそのつもりだったんだろ?

ならこれで万事解決と言うわけだ。


分かりました。

それではこちらの書類に決定のサインを頂けますか?


ふんっ、これでお前ともおさらばだから喜んでしてやろう。


ありがとうございます。

それではこれにてミッションは全てコンプリートです。

お疲れ様でした。





薄暗かった部屋が明るくなり二人の男は立ち上がった。

部下と思われえいた男が嬉しそうに上司のサインを眺めながら頷く・・・


「さて、それではこちらをご覧下さい」


そう言って差し出されたのは小さな鏡であった。


「なんの真似だこれは?」

「ご自身の目で確認されてはどうですか?」


そして、その鏡に映し出されていた顔を見て上司の男は顔を青ざめる・・・

そこに映し出されていた自分の顔はモニターの中で問題を解いている男の物だったのだ。


「なっ・・・これは一体どういうこと・・・」


動揺する上司をあざ笑うかのように部下の男はモニターに映し出されている映像に目をやって手元のリモコンを操作する・・・


「いや~採点してから捕縛するまで時間が結構掛かってますんで早送りしますね」

「嘘だ・・・そんな・・・ありえない・・・違う・・・違う・・・」

「大丈夫ですよ、実験は全て完了しましたから。ですから、ごゆっくりお休み下さい」


いつの間にか部下の男はガスマスクを被っており部屋にガスが吹き込まれる。

慌てて息を止めて部屋から逃げ出そうとする上司であるが入り口のドアは開く事無く悶え苦しみながら目が血走っていく・・・


「実験への御協力ありがとうございました。ウィルスが貴方の記憶を上手く改ざんし以前と真逆の思考回路を持たせる実験は見事に成功しました」


そう痙攣しながら意識と遠退いていく男に告げる男は小さく最後に呟いた。


「今度は思い出せなかったみたいですね・・・」

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