第23話

 街を、歩いている。

 本当は、外出を避けたかった。

 別に、日中だと日が照っていて暑いからというわけではない。

 そんなものは、今では些細な問題だった。

 都会とも、田舎とも言えないような街だから、休日ということもあって人はそれなりにいる。

 軽自動車を運転するドライバー。

 ――ふらついたフリをして車道に出れば、運転ミスをして、人を数人ひき殺すだろうか。

 電柱に登っている工事業者。

 ――石を投げつければ、転落して骨でも折るだろうか。

 樹木を整えている庭師。

 ――脅かせば、手元を狂わせて剪定ばさみで指でもを切らないだろうか。


「うっ……」


 気持ちが悪い。

 様々な人とすれ違う。

 その全てに不幸が訪れればと。

 先にある生々しいグロテスクな妄想が止まらない。

 気持ちが悪い。


「まっ……ずぃ……」


 気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪いき気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い―――


 近場の側溝に、吐瀉する。

 それでも、気持ちは晴れなかった。

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