再構築2020(旧)

楠木達也

再構築2O2O

Opening

カウントダウン

A long time ago... Once upon a time...

We were in the sea.(昔々、我々は海の底。)


We went up to the land to go for it,

guided by the light shot from heaven

from the dark and cold sea.

It was a poisonous world,

but in time we overcame it.

We looked back and saw the nectar world that we drowned in has become covered in poison.

(暗く凍えた水の中で、我々は天より射した光に導かれるように、それを目指して陸に上がりました。そこは毒にまみれた世界でしたが、いつしか我々はそれを克服しました。ふと後ろを振り返ると、我々がかつて溺れていた蜜の世界が、毒にまみれてしまったのです。)


We got feet.

Therefore, we must walk the earth.

One freedom has been lost.

Our homeland was also lost.

So next, we headed for the sky.

It is a distant world

where “God” is supposed to be.

That is the world we lived in sometime.

(足を手に入れました。我々は大地を歩かなければなりません。自由が一つ失われました。故郷も失いました。だから次は空を目指しました。遠く、神様とやらが居るとされる世界です。いつか我々が生きていた世界です。)



前に林檎を食べた。正しくは何を食べたのかを覚えていない。その林檎か無花果か、得体の知れない禁忌を口にして、我々は楽園を失った代わりに、少しばかりの知恵と、静かの海を手に入れたのだ。



“Now let's build a city with a tower

that reaches the sky,

so that we can make a name for ourselves

and not be scattered all over the earth.”


さぁ、頂が天に届く塔を建てよう。

そして名を上げ、全地に散るのを免れよう。


Let's build a staircase that leads to heaven.

Let's pile the stones high.

That we might get as close to God as we can,

and then get to that cloud.

Even though words may divide us,

and the sea may strike the earth,

let us pile the stones high into those clouds that cannot be reached.

(空へと続く階段を作りましょう。高く石を積み上げましょう。なるべく神に近づいて、いつかあの地へ届くまで。言葉が我々を分け隔て、海が大地を襲おうとも、届くことのないあの雲へと高く石を積み上げましょう。)


The birds fly freely in the air.

Mimicking their appearance as forgiven beings, we then built the plane.

We have finally got the sky.

But God was already dead.

Because it is nowhere to be found.

(鳥は自由に空を飛びます。赦された存在の彼らを模倣して、次は飛行機を作りました。我々は遂に空を手に入れたのです。しかし神は既に死んでいました。何処にも見当たらないからです。)


Why were we thus aiming for the sky?

None of us could figure it out, and here we are.

Who in the world is at fault?

What should we believe?

We have chosen the path of greed, anger, and self-harm in our confusion.

(なぜ、こうして我々は空を目指していたのか。誰一人それが分からないまま、我々はここまで来てしまいました。一体、誰が悪いのでしょうか。何を信じれば良いのでしょうか。我々は混乱の中で、貪り、怒り、そして自傷の道を選んだ。)



【 Opening カウントダウン 】



Somebody said,

“The Lights in the Sky Are Stars.”



西暦1969年7月16日

アメリカ合衆国フロリダ州メリット島ケネディ宇宙センター第39発射施設39A発射台


宇宙は最後のフロンティア。

空は晴れ渡り、目前には夢と希望があります。我々はこの瞬間を望んでいました。きっと、この先には何かがあります。今は忘れてしまった、でもいつかは向き合わなければならない大切なことを。


Saturn Vが煙を上げる。

轟音で空が鳴っている。


警報・・


「カウントダウン」


十の戒律

八まで待たずにいる君

七つの色を解放させる子羊

六人の生者

五感

四人の聖者

三つの毒で構成される世界

二つに分かれている私

空と真空

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る