蠅の泪


いけ好かない野郎だと罵って

酒で憂さを晴らすくらいがちょうどいい

恨み言辛み言を書き綴った帳面は

すでに20冊をこえて散らかっている

住宅街の自転車やバイクは今夜も燃える

誰だろうと泣きたくなる様な夜はあって

お前だけじゃないってその時は口にする

高層ビルに一部屋でも持ちたいと願いが

無精ひげとエロ雑誌に埋もれて

あの頃の俺からやり直したいなどと

皮膚科の軟膏を塗りながら涙目で嗤う


あいつは噂では儲かっているんだと

あの女も金持ちと懇ろなんだと

羨ましがったところで俺の何が変えられる

あいつは確か何番目 俺は確か何番目

生まれてきたのは何番目

消えてゆくのは何番目

誰も分かっちゃいないだろう

カビが生えた食い物をいつまでたっても

片付けられないこの俺は

何にもできないデクノボウ

人様の物を燃やすだけ

俺の憂さを燃やすだけ

寝ちまえ寝ちまえ 拗ねちまえ

世の中みいんな燃えちまえ

小っちぇえ銀蠅 たかるだけ

小っちゃく光る なみだだけ

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