第8話 雨の日の来客

窓に当たる水滴が

押しのけられながら沈む

陰鬱な時


僕達は、皆で朝食を取っていた。


「お姉様〜

おかわりっ!」


咲が、元気よくそう言うと


「は〜い

ちょっと待っていてくださいね

旦那様もコーヒーばかり飲んでいないで

少しは何か食べた方が良いですよ」


聖が、僕にコーヒーを注ぎながらそう言った。

僕は、作った武装を整理する為に

タブレットを弄りながら


「ああ、そうするよ」


と言って適当にテーブルの物を取って

口に放り込んだ。


「もう、お行儀が悪いですよ

咲ちゃんが真似したらどうするんですか?」


「ある程度

育ってるし大丈夫だろ

なんでも真似したりしないさ」


僕が、そう言いながら

咲の方を見ると

口の周りに色々つけながら

ジュースを飲んでいた。


「...

普通に食べるか...」


僕は、そう言って

タブレットを置くと


ガンガンッと

窓を叩く音がした。


「敵ですか?」


聖がそう言って

片手を刀に変えて

窓の方に行こうとすると


「いや、敵なら

智慧ジュウホエが報告するよ

風だろ」


僕が、そう言いながら

コーヒーに角砂糖を入れていると


「お腹...空いた...

たす...けて...」


と言う声が聞こえた。


「風ですか?」


聖が、意地悪そうに微笑んで

そう言った。


僕は、それを聞くと

拳銃を取り出して


バンッ!


と窓を撃った。


「これで何もいない」


そう言いながら、

拳銃を放り捨てて

僕がコーヒーをかき混ぜた。


すると、

窓の方から壁をすり抜けて

女が入ってきた。


「いきなり、何するんですか!」


女がそう言うと

僕が、立ち上がって近づき


「いや〜

悪かった

此方も周りが敵だらけで

臆病になっていてね」


僕は、笑顔でそう言うと

女の顔面を思い切り殴りつけた。

だが、拳が体をすり抜けた。


「うわっ!

もう、なんなんですか!」


「なんなんですかは

こっちのセリフだ

いきなり人の家に入り込んできやがって

窓割損じゃねえか!」


「私は、助けを求めた

だけじゃないですか!」


「なんで見ず知らずの奴を

助けないといけないんだ!

招き入れて殺されたらどうする!」


「そりゃ〜

そう、ですけど...」


女は、僕に怒鳴られて沈んだ様子でそう言った。


僕が、そのまま追い返そうと思っていると


天帝シャンティー

ダメですよ!」


智慧ジュウホエがうるさいので


「ああ、もうわかった

聖、コイツにシャワーを浴びさせてくれ」


僕は、適当に女のサイズの服を作って

聖に渡しながらそう言った。


「ふふっお優しいんですね

わかりました

さあ、行きましょう」


と聖が女を連れていった。


「あ、ありがとう」


と言って

そのまま浴場に向かった。


智慧ジュウホエ、僕のストックしてある

体を操作して床の掃除をしといてくれ


了解ヤオミンバエ天帝シャンティー!」


僕は、智慧ジュウホエに掃除を頼み

仕方なく窓を修理した。


女が入浴をすませ

戻って来ると


「お腹減ったー」


と図々しく言ってきたので

仕方なく朝食を振舞ってやった。


女は、ガツガツと食べ進め

あっという間に完食し


「おかわり!」


と元気に言ってきた。

コイツ今すぐ、追い返したい


「わわ!

ちょっと待ってくださいね」


聖が慌てて厨房に行って

おかわりを作りに行った。

可愛い。


僕は、ルンルンとおかわりを待っている

女を見てふと思った疑問を尋ねた。


「そう言えば、

お前どうやってこの家のセキュリティを

突破したんだ?」


女は、マヌケ顔でこっちを向いて


「え?

普通に入って来れましたよ?

あ、壁は通り抜けましたけど

私の能力なんです」


「て言う事は

セキュリティに穴が有るって事だな

よし、お前食べ終わったら

セキュリティのアップグレードを手伝え」


「え〜

嫌ですよ

めんどくさい」


コイツ今すぐ、ぶん殴りたい。


「おいおい

こっちは色々面倒見てやったんだ

それくらいは良いだろ?」


僕が、落ち着いてそう言うと


「う〜ん

雨が晴れたら...」


よし、コイツ殺そう。


天帝シャンティー

女の子なんですよ!

優しくしてあげてください」


お前は、僕の母親か?

僕の母親は、そんな事いわないけど...

まあ、良いか


「わかった

じゃあ、晴れたら手伝えよ」


僕がそう言うと

ちょうど聖が来て


「おかわり出来ましたよ〜」


と料理を持ってきた。

可愛い。


「やったー

いただきます!」


「おい、人の話聞いてんのか!」


「わかりましたよ〜

晴れたら手伝います〜」


そう言いながら、女は料理をがっついた。


女が料理を完食して

食休みし始めた頃。


「それで、

お前どうしてこんな雨の中

彷徨ってたんだ?」


「あ〜

うちのリーダーが食料調達して来いって

言ってきてアジトから街まで行ったんですけど〜

廃墟を能力者の集団が根城にした見たいで

襲われちゃったんですよ〜

それで、命からがら逃げてたら

迷っちゃって」


「そうか、大変だな

いつ、帰るんだ?」


「ねえ、早く追い出そうとしてません!?」


「そりゃそうだ

置いておくメリットが無い」


「もう、冷たい!

アジトに帰るには能力者の集団を

どうにかしないと

また、襲われちゃいますよ」


「能力で逃げれば良いだろ」


「ここからアジトまで

数日かかるから無理ですよ〜

もう、あんな目にはあいたくないです」


「仲間に助けて貰え」


「連絡が取れません

ここ携帯もないじゃないですか」


「だからって

ここにずっとは置いておけないぞ」


「そりゃ〜

わかってますけど〜

あ、そうだ!

リーダーと連絡とる手段ありませんか?

貴方達の能力で」


「お前のリーダーが

何処に居るかもわからないのに無理だ」


「場所がわかれば良いんですか?」


「ああ、僕の能力でお前の現状を報せてやる」


僕が、解決策を与えると

女は喜んで


「じゃあ、

教えますね〜」


と言った。


「おい!

そんなに簡単に仲間の場所を教えて良いのか?」


「だって、貴方は少し冷たいけど

良い人じゃ無いですか〜

大丈夫です」


女は、明るく屈託の無い笑顔でそう言うと


「そんなに簡単に信用されても困るんだが...」


と僕は呆れた。


「それで、場所なんですけど

廃墟を少し行った所の砂漠地帯わかりますか?」


「ああ、ここの地図を作ったら

把握済みだ」


「良かった

そこにあるアオシスの近くの洞窟です」


「お前、良くそんな場所に住めるな」


「私だって

あんな所は嫌ですよ

でも、リーダーは街は人が集まりやすいから

ダメだって」


「まあ、そりゃあ

そうか

じゃあ、使いを送る」


僕は、そう言って

ドローンを取り出して

女が言った場所に送った。


暫くすると

ドローンから反応があり

搭載してある

ビデオ通話機能が自動で起動した。


「あー

もしもし聞こえているか?」


僕は、タブレットでそれに対応し

画面の向こうの男に話しかけた。


「よく攻撃せずにいてくれたな

聞こえているぞ

お前の仲間がうちに居座ってる

迎えに来てくれ」


「ああ、仲間の服が引っかかってたから

取り敢えず、応対した

って

本当か?

おい!中鬼!

お前、何日も帰って来ないと思ったら

何やってんだ!」


男が、僕の隣にいる女を怒鳴りつけた。


「ひえ〜

ごめんなさいリーダー

でも、襲われて仕方なく

匿って貰ったんです

助けてください!」


「なに?

そうか、大変だったな

すまなかった

なあ、アンタ

一度会って話したいんだが

俺をそっちに送れるか?」


「可能だが

いきなり襲いかかるなよ?」


「ははっ

仲間の恩人にそんな事しないさ」


画面の向こうの男は、そう言って笑いかけた


僕は、男の横に

異空間倉庫のゲートを開き

男をそこに入れ

ここで男を取り出した。


男は、ここに来ると直ぐに

頭を下げて


「仲間への手厚い保護感謝する」


と言ってきた。


「ああ、それは

多少迷惑だったが気にするな」


「そうか!

そう言って貰えるとありがたい」


男は、素直に僕に感謝した

なんかやりにくいな


「じゃあ、コイツ引き取ってくれ」


僕は、女を指さして

そう言うと


「あ〜それなんだが

不躾な頼みだとはわかっているんだが

こうして会ったのも何かの縁だ

廃墟の能力者を片付けるのを手伝ってくれないか?」


男がバツが悪そうにそう言うと


僕は、少し考え込み

将来的な此方の被害を考え


「わかった

良いだろう

ただし、ヤバくなったら

僕は一人で逃げるぞ?」


「ああ!

構わないさ感謝する!」


男が、嬉しそうにそう言った。


「それで、君はどんな能力なんだ?」


「ああ、それはな」


男は、そう言って

窓の方を向き

パチンッ!と指を鳴らすと雲が晴れ

天気が変わった。


「おお、中々使えそうだな」


「だろ?

お前のは?」


「僕のは、これだ」


そう言って僕は、

異空間倉庫から

大量の武装を窓から見えるように

庭に展開させた。


「おおお!

心強いぜ!」


男は、大量の武装に興奮してそう言った。


僕らは、お互いの能力を確かめ合い

握手をすると

二人で被害が最小限になる様に

女達を置いていく様に話し合い。


廃墟に二人で向かう事にした。

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