第5話 名前

僕が、彼女と出会って

数日が経った。


「旦那様〜

紅茶が入りましたよ〜」


僕が、屋敷の庭で武器を作って

色々、試していると

彼女が、嬉しそうに手を降って

バスケットを片手に僕の方へ歩いてくる。

可愛い。


「ありがとう

いい所に来てくれた

ちょっとこれ見てくれ」


「どうせまた、新しい武器でしょう?」


彼女は、少し飽き飽きと言った感じで言った。


「まあ、良いだろ

それに、君も新しく作った

シアタールームで映画見るだけだと退屈だろ?」


「そうですね〜

社会の勉強になる物が欲しいとは

言いましたけど、

何故か、旦那様が作ってくれるのは

ヒーロー物の映画だけですし

正直、退屈です」


「君が、僕に好きな物の話をしてくれた様に

僕も、君に好きな物を教えてるんだよ」


僕は、微笑んでそう言った。


「まあ、わかってるから

全部見てるんですけどね」


彼女が、照れながらそう言った所で


「ありがとう

じゃあ、今度は君の好きな物を見せるよ

みてて


光が欲しいと

陽光仰ぎ

落ちては、沈む憧れは、

儚く俯き動きを止める

憧れが暮れる時アイス・ブルーム


僕が、そう言うと

彼女の前に氷の向日葵が現れた。


「わあ、凄いですね

どんな装置で出しているんですか?」


「装置で出してるんじゃ無いんだ

僕は、能力で魔法を作った」


僕が、ドヤ顔でそう言うと


「魔法!?

凄いですね!

でも、これ他の人にも

使われちゃうんじゃ無いですか?」


「そうか、確かに言うだけだしな

智慧ジュウホエ、対処法を考えてくれ」


了解ヤオミンバエ天帝シャンティー


僕が、そう言うと


「旦那様?

あの〜ちょっと言い難いんですが

乖離性障害をお持ちなんですか?」


僕が、智慧ジュウホエに話しかけると

彼女が、心配そうに尋ねてきた。


「ああ、違うよ

僕が作ったAIと話している

ちょっと待っててくれ」


僕が、ホログラム映写機を作り

智慧ジュウホエを彼女に見せた。


だが、彼女はそれを見て


「へ〜

こういう子が好みなんですか〜」


とジト目で僕を見つめてきた。

可愛い。


「違うよ

最初からこの見た目だったんだ」


僕が、彼女をなだめると


「そんな筈無いです!

旦那様が作ったんですから!」


彼女が怒り出した。

僕が困っていると


天帝シャンティー、対処完了しました」


智慧ジュウホエが、遮った。


よし、良い子だ


「いえ、天帝シャンティーの為ですので!」


僕らは、脳内で会話を済ませつつ


「それで、対処法は?」


「はい、天帝シャンティーが、

個人データを掌握し、許可をだした人物がパスワードを言うと魔法が発動するように、

能力で設定を組み込むだけで解決かと」


「そうか、なるほど

じゃあ、能力で

パスワードを...

どうしようかな〜

そうだ、世界に命ずるにしよう」


僕が、そう言うと彼女は


「それはやめた方が良いかと...

なんて言うか、その...

そう!

長いんじゃありませんか?

それを言った後に呪文を言うんでしょう?」


彼女が、とても言いづらそうに言った。


「確かに、少し長いかもな

そうだな

聴けッ!にしよう」


僕が、そう言ってパスワードを設定した。


「君も使えるように設定したから、

色々、教えるよ」


僕が、そう言って

ガーデンテーブルと椅子を作った。


「紅茶でも飲みながら

教えるよ」


そう言うと、彼女は喜んで


「じゃあ、今日は旦那様とお茶会ですね!

紅茶もっと持ってきます!」


そう言って、彼女は嬉しそうに

屋敷に戻って行った。

可愛い。


「じゃあ、彼女を待っているうちに

もう一つ、何か作ろうかな」


そう言って僕がアイデアを練っていると


「そう言えば、天帝シャンティー

いつもあの方を君って呼んでいますけど

名前を聞かれましたか?

私の記憶では聞いていないのですけど...」


智慧ジュウホエがそう言うと


「ほんとだッ!

知らない!」


僕が、驚いていると

彼女が、屋敷から走ってきた


「お待たせしましたッ!」


「いやいや、メチャクチャ速いよ」


恐らく能力だろうが

そう言えば、彼女の能力の詳細も知らない。


彼女は、テーブルの上に紅茶を用意し

椅子に座ると

楽しそうに


「では、色々聞かせてくださいね」


と言った

可愛い。


「あ〜

それなんだが、その前に

君の事が知りたい」


「私の事ですか?」


彼女は、不思議そうな顔でそう言った。

可愛い。


「ああ、まずは

その〜

君の名前は?」


僕が、言いづらそうにそう言うと


「ああ、名前ですか!

ありませんよ!」


彼女は、明るく言った。


「え?」


「お母様が、産んだ事を受け入れたくなくて

役所に届けなかったんです

お父様はずっと怪物って呼んでました

それに、ずっと監禁されていたので

苗字もわかりません」


彼女は、少し寂しそうにそう言うと


「じゃあ、君は今日から

ひじりだ」


僕が、そう言うと

彼女は嬉しそうに


「正式にプロポーズしてくれましたね

旦那様!」


と言った。

可愛い。



そうして、僕らが話していると


天帝シャンティー、敵襲です!」


智慧ジュウホエがそう言い


僕は、聖を庇う様に被さると

上空から、大きな鳥にぶら下がって

男が現れた。


僕は、聖を庇いつつ

指先に取り付けた機関銃で、

鳥を撃ち殺した。


「うわあッ!

相棒ッ!

てめえ、許さねえ!」


そう言って、

男が僕に手を伸ばそうとすると


「旦那様に、何するんですかッ!」


聖は、指を伸ばして

男の頭を貫いて殺した。


彼女は、そのまま立ち上がって

男を、蹴りまくった。


「許さないッ!

許さないッ!」


獣の様に鋭い目で

敵を睨みつけ、止まる様子が無かった。


僕は、慌てて

それを止めた。


「落ち着けって、

あんなのくらっても

僕は、大丈夫だ」


「そんなの

わからないじゃないですか!

もしも、

旦那様がいなくなったら

私...」


聖が僕に抱きついて泣くと

僕は、それを抱き寄せて

頭を撫でた。


「大丈夫だよ

僕は、不滅だ

何処にも行かない

それに、僕は君のためなら

なんでも出来ると誇張無く言える程

君を愛している

僕自身、君から離れたく無いんだ」


僕が、そう言うと


「じゃあ、

一つお願いしても良いですか?」


聖は、泣き止もうと

グスグス言いながら

僕に甘えた。

可愛い。


「ああ、良いよ

なんでも言ってごらん」


「実は〜私、

旦那様と戦った時の事が忘れられなくて

それで...

もう一度したいな〜って...」


彼女が、恥じらいながら言った。

ああもう、なんだこの可愛い生き物は!


「そうか、じゃあ

早速、部屋に行こうか」


「いえ、私もう我慢出来なくて...

ここでじゃダメですか?」


「ここで!?」


「ダメですか〜?」


彼女が、甘えた声で僕に頼む。

あぁ、可愛い!


「しょ、しょうがないな〜

今回だけだよ〜?」


「ありがとうございます!

では、早速!」


そう言って彼女は、

腕を刀に変え僕の腕を切り裂いた。


「あ〜

忘れられないってこっちか...」


「もう、我慢出来ません!」


彼女は、そう言って全力で

僕に襲いかかる。


「一つ疑問なんだが、

僕のコートは普通の刀じゃ切れない

ましてや、腕なんて切れるはずない

なのに、何故

君は、こうもあっさり切れるんだ?」


僕が、青龍刀を折れては出しと

何本も消費して彼女の攻撃に耐えながら聞くと


「私の能力は、自分の体を自在に変化させる

能力なんです

だから、変化させる時に

旦那様の腕が切れる刀と考えるだけで、

実行出来ます!」


彼女は、嬉しそうにそう言って

僕の左腕も切り裂いて

足払いし、

馬乗りになった。


「旦那様〜

この体も素敵ですが

生身の方が楽しめます!

だから...

体、変えてくれますか?」


聖が僕に甘えてそう言うと


「まあ、どうせ

幾らでも作れるし

君が楽しいなら良いか...」


僕は、諦めて体を変えた。


屋敷の庭には

暫く、

僕の絶叫と、彼女の高笑いが響き渡った。

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