第16話 言うほど孤独を感じちゃいない

俺の悲しみの何分の一かはきっとお前をなくしたせいだ。日差しは暖かい。北にあるこの国の二月は毎年真冬の真っ只中だ。なのに今日はダウンを着てると暑くてたまらない。ここ数日はぼんやりしていたのに天宙のあの太陽はどんなつもりで気合を入れているのか。もしかしたら地球はあの輝きに目も眩み堕ちて行こうとしているのか。今日がその始まりなのか。そうだとしたら俺はこの大地に喝采を贈ろう。いいのだそれで。もうすぐ北も南もそんな事は些細な事になるだろう。今も俺にはそんな事はつまらない事だが、何日後かにこの世界の全てが灼けついて、俺の悲しみも全てが灼けついてお前がどうだったとか俺がどうだったとかどうでもよくなり、お前も俺も灼けついて灰となり、やっと二人は交わって、熱と風に吹き飛ばされて焦土と空を駆け巡り、嗚呼これが永遠なんだなとそればかりが俺たちの全てになり、やっと至福に至るのだ。残りの悲しみの大半を灼き尽くして。

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