アウモエ aumoe【真夜中】

朝まで眠ったつもりが、私は真夜中に目を覚ましていた。

隣には岸本さんが寝息をたてて眠っていた。

私は、半身を起こし、脳裏にあるのは、父が母の手を頭の上で、私のピンクのなわとびでしばり、セックスをしている光景であった。真夜中に目覚め、両親のもとを訪れた小さな私が見た光景であった。気付いた母は私の名を小声で呼んだ。父は、動作を止め、私を部屋まで連れて帰った。

鮮明な記憶として、今脳裏には浮かんでいた。


そして、私はなぜだか岸本さんの首を締めようと手をかけた。気配に気付いた岸本さんは、私の顔をじっと見て、その手をとり、逆に私の頭の上で押さえた。

私はなぜか抵抗せずにいた。


岸本さんは私に口づけした。何度かするうちに舌を私の口の中にいれ、私はそのしたを吸うように口の中で扱った。

岸本さんはそのまま、半身を起こし、私の左耳から左首筋にかけて唇をはわせ、ふたたび口づけをした。なぜか、私の両手首は岸本さんの片手で少しかたく押し付けられていた。もうかたほうの手で岸本さんは、私のパジャマのボタンを外していった。肩があらわになり、乳房も見え、そこからは岸本さんは押さえ付けていた私の手を離し、私の両肩をもち、強く唇を押しあて、奥に奥にと舌を私の口へ入れてきた。

「あ。」私は声がもれ、せきこみ、横を向いた。気づいたら、私の息は少し上がっていた。


彼は、夢中に乳房にしがむように口をおしつけ、舌の先を転がした。その行為になぜか、時間をかけていた。


彼の手が下へと降りてくるのを、私は手で一度押さえた。

岸本さんと目が合い、岸本さんは嫌かと目で問いかけた。私は感情の出ない目をしており、岸本さんは少し判断に迷ったが、私の下着の中に手をいれ、優しくまさぐった。


指を中にいれ、私は身体を右にのけぞり、指から逃げた。


そして私はたくさん涙をながした。そして、岸本さんに何を問われても、右を向いたまま、上も下も服がはだけたまま、口に手を押しあて、ただ泣いていた。何が悲しいのか、こわいのか、嫌なのか、何なのか、わからなかった。


泣きつかれた時、そっと毛布をかけられたのがわかり、岸本さんは数度私の髪をなでて、私から離れ、ロフトの下へと降りた。


私は起きてるつもりが、気づけば眠っていて、目を覚ますと昼近く、岸本さんの姿はなかった。

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